データ活用・データ連携のお役立ちコラム
データ活用・データ連携のお役立ちコラム
EDIは、Electronic Data Interchangeの頭文字3つを取った略称で、日本語に訳すと“電子データ交換”です。企業間で商取引のためのデータを、通信回線を介して標準的な規約(合意された各種規約)を用いて、コンピュータ間で交換することです。知っている人は知っているけど、知らない人は全然知らない企業の業務の1つです。勉強しようにも情報が少なく、なかなかその全容をつかむことができません。
そこでこのコラムの前編では、EDIという言葉に初めて出会った方のために、その基礎の基礎から今まさにEDIの世界で起こっていることまで、わかりやすくまるまるっとお伝えします。また、後編ではEDIの種類と、現状の課題とこの世界に押し寄せている大きなうねりに焦点を当ててお話しします。
「EDI担当になっちゃった!」という方も、「まったく関わりのない世界なんだけど」という方も、まずはちょっとのぞいてみてください。
EDIというのは、世間的にはミステリアスな言葉です。誰かが自己紹介で「私は会社でEDIを担当しています」といった時、知っている人は知っているけれど、知らない人はまったく知らないというのが実情でしょう。営業やマーケティング、経理、総務などは、社会経験のない学生にもだいたい仕事の内容が想像つくのに比べると大きな違いです。EDIはICTの一領域ですが、エンジニアの中にも「EDIなんて知らない」という人はいます。企業によっては取り組んでいないところもあるからです。グーグルで“EDI”を検索しても、要約みたいに簡単な解説か、逆に聞いたこともない専門用語が並んだ難しい説明しかなく、“ERP”や“CRM”なら日本語で書かれた専門書籍もたくさん見つかりますが、EDIという分野はそうではありません。
一体、EDIとは何なのでしょうか。そして今、EDIという世界でどういうことが起こっているのでしょうか。このコラムでは、前後編にわたってこの言葉に初めて遭遇した方を対象に、わかりやすく説明していきたいと思います。
EDIは、前述のとおり、字義的には「電子データを交換すること」。そんなことなら、私たちはもう、常日頃実行しているじゃないか。そう思われた方もおられるかもしれません。電子メールやSNSで誰かとメッセージをやり取りすることは、ディジタル入力した文章をネットワーク経由で送受信することですし、オンラインショッピングで買い物する時も、私たちは電子データで注文を出し、ショッピングサイトからは「注文を承りました」「発送しました」と電子データで連絡が来ます。
確かに、これらも広義では電子データ交換です。しかし、日本国内でEDIという時は、別にはっきりとした定義があります。平成元年に通商産業省(現 経済産業省) 電子機械相互運用環境整備委員会が定めたもので、少し長いですがここにそのまま引用してみます。
異なる企業間で、商取引のためのデータを通信回線を介して標準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、コンピュータ(端末を含む)間で交換すること
ここでのポイントは4つあります。
この定義に沿って考えると、電子メールやSNSでのメッセージ交換は(1)に当てはまらず、オンラインショッピングでの買い物は、(3)と(4)に当てはまりません。オンラインショッピング業界と私たちの間で受発注データをどうやり取りするかについて、特に取り決めがあるわけではありません。これは専門用語的には通信プロトコルと呼ばれます。
(4)でいう「コンピュータ(端末を含む)間で交換」は、人を介さない機械と機械の間でのデータ交換を意味します。ショッピングサイトからの回答は自動かもしれませんが、注文は私たち人間が出しますよね。あらためて整理すると、EDIとは企業と企業の間で行われる商業活動、そこで用いられる電子データの自動交換のことなのです。
EDIが出現する前も、企業はたがいに取引を行っていました。どのようにして?
紙の伝票を通じてです。それを郵送でやり取りしたり、電話で読み上げたり、FAXが登場してからはFAXを使って伝票を送信したりもしました。ただ、手間がかかる上、取り扱える情報量に限りがありました。といっても、この時代は郵送、電話、FAXしかなかったので、これらを当たり前だと思って使っていました。
そこへコンピュータが登場します。最初のコンピュータはメインフレームと呼ばれる大型機でした。いくつかの企業がコンピュータを導入し始めると、データはお互いその中にあるのだから、そのままやり取りすればいいじゃないかという話になります。それで登場したのが企業オンラインシステムです。コンピュータどうしを通信回線で結ぶのです。この時は専用線といって、取引を行う企業どうしがピンポイントで線をつなぐ方式でした。回線帯域はまだブロードバンドではなかったため、通信回線で送信できない大きなデータは、電子媒体を物理的に交換してデータのやり取りをしていました。磁気テープや8インチ、5インチ、3.5インチのフロッピーディスクなどがそれらです。磁気テープを交換したり、フロッピーディスクをコンピュータに出し入れするのはシニア世代には懐かしい思い出ですが、もう若い世代は見たこともない“遺物”かもしれませんね。
1990年代に入ると、企業でインターネットとPCの導入が始まりました。インターネットのWebブラウザは情報を表示するのに優れていたため、この機能を利用したWeb-EDIが行われるようになります。ただ、ここへ情報をアップロードしたり、ダウンロードしたりするためには人による手作業が必要で、厳密な定義の下ではこれはEDIではないことになります。
一方、通信回線として専用線に加えて、固定電話※1といった公衆回線を使ったEDIをスタートさせる企業も出てきて、後に日本のEDI形式の主流となります。この仕組みの詳細については後編でじっくり説明します。
※1:固定電話:電話回線(アナログ回線)とINSネット(ISDN/デジタル回線)の両方を含む
このようにして、企業は取引業務をEDI化することにより効率を高めてきました。もう、うすうすお気づきとは思いますが、企業にとってEDIを導入するメリットはたくさんあります。
まず、コンピュータによって自動化するのですから、まちがいなく処理は迅速になり、注文から入荷までのリードタイムなどが短縮できます。
また、迅速になる分、より多くのデータを扱えます。どんなに優秀なベテランでも、100社に1,000万件の注文を1人で出すことは物理的に無理でしょう。
さらに、人ならミスをおかすこともありますが、コンピュータは疲れ知らずで、常に正確な処理を行います。紙の伝票を使わなくなることにより、経費削減効果も得られます。
加えて、今日は働き方改革が叫ばれていますが、発注したり、受注したりといった取引業務は、ある意味内容が一定したルーティンワークです。こうしたルーティンワークをコンピュータに任せることで、人は取引業務の本質部分に注力することができます。
現在、日本には約400万社※2の企業が存在するといわれていますが、その1割に当たる約40万社が取引業務をEDI化しているといわれています。たかが1割?されど1割です。「大量(多品種)の注文を効率よく処理したい!」というのが導入の最大動機となるため、すべての企業に必要かというとそうではなく、その意味ではまったく知らない人がいても当然です。ですが、一度導入した企業にとっては、もうEDIなくして日々の取引業務は回らないというほどに必要不可欠のテクノロジーなのです。
※2:出所:総務省統計局「日本の企業数(平成28年6月現在)」より
https://www.stat.go.jp/
ここまで、EDIで取り扱うデータを単に電子データと表現してきましたが、実は取引業務で扱われるデータには種類があります。それを示したのが図1です。
図1:企業間取引で交換されるさまざまな情報
上から4つは取引を行う企業どうしで直接やり取りします。「見積を送ってください」⇔「見積を回答します」、「注文します」⇔「いただいた注文の納期は〇月〇日になります」、「注文された品を出荷しました」⇔「出荷された品を受領しました」、「いただいた注文分の請求書を送ります」⇔「〇月〇日に支払います」といった内容が主なものです。これらはまとめて“商流EDI”と呼ばれます。商業活動上のEDIデータというわけです。
これに対して、企業が金融機関とやり取りするデータというのもあります。赤月株式会社に注文を出した青空株式会社は「赤月株式会社に〇〇円振込を行ってください」と金融機関に依頼し、金融機関は「青空株式会社から〇〇円振込がありました」と赤月株式会社に連絡するのがそれです。こちらはお金の流れを扱うので“金融EDI”(あるいは“金流EDI”とも)と呼ばれます。
蛇足ながら、固定電話を使った、これまで主流のEDIでは、この“商流EDI”と“金融EDI”はまったく別々に進められていました。金融EDIに商流EDIの情報を反映させるためには多くの情報が必要となるのですが、これまでの金融EDIでは付与できる情報量が少なすぎたため、振り込まれた代金に〇月〇日の注文分が含まれているのかどうかは一見しただけではわかりませんでした。そのため、商流EDIで得たデータを別途手元に用意して、人が1つ1つ確認を行うという手間のかかる作業が発生していたのです。それなら金融EDIにより多くの商流EDIデータを載せて送ればいいじゃないか、と思いますよね。でも1つの単位として扱えるデータ長に上限があって、すべてを盛り込むことはできなかったのです。この点は、EDIの非常に大きな課題の1つでした。
前回、専用線や固定電話を使ったEDIを「これまで主流のEDI」と表現しました。では、これはもう主流ではないのか。いえ、そんなことはありません。今も主流です。しかし、いろいろと新しい流れが登場し、それが大きなうねりになり始めています。ここで一度、さまざまなEDI形式をきちんと整理しておきましょう。
最初は、すでに見てきたEDIです。この後に新しいEDIが出てくるので、ここでは仮に“従来型EDI”と名づけておきます。この従来型EDIでは、通信回線に専用線あるいは公衆回線を使います。公衆回線とは多くの利用者が物理的に同じ回線を共有する回線ということで、専用線と対比されるものです。その回線にモデムやターミナルアダプタ(TA)などといった通信機器を接続し、取引する企業とそのつど接続してデータ交換を行います。技術的には非常に安定していますが、先に見たように、一単位として扱えるデータ長に上限があって商流EDIと金融EDIを別々に扱わざるを得ません。また、通信速度に限界があり、料金は従量制です。例えば、北海道と沖縄の間でデータ交換を行った場合、東京と千葉の間で行うのに比べて料金は高くなります。さらに、衝撃的な出来事が従来型EDIに起こるのですが、これらについては、後ほどじっくりお話しします。
これに対し、インターネットの普及に伴って登場したのがインターネットEDIです。通信回線にインターネットを利用します。これが出てきたために、上記のEDIが“従来型”と呼ばれることになりました。こちらは、回線接続にルータやSSL/TLSアクセラレータなどといった通信機器を用います。インターネットを通信回線に使うなんて、セキュリティ的にどうなの?と思われるかもしれません。そこはちゃんと考えられていて、セキュリティを重視した規約があり、データはすべて暗号化された状態で交換されます。これ以外にも、最新のさまざまなICTが利用できるため高速・高品質のデータ伝送が可能で、市場で提供されるさまざまなサービスと高い親和性があります。ユーザ数が多く規模の経済が効くため、設備コストやサービス料金を安価に抑えられます。特に、距離に関係なく一律のサービス料金で利用できるため、常時接続可能になることは大きなメリットです。
また、インターネットEDIには、Web-EDIもあります。
Web-EDIとは通信回線としてインターネットを使用し、Webブラウザを用いて手軽に通信相手先とデータのアップロードやダウンロードを実現するEDIです。
従来型EDIのように専用システムや通信機器などを準備する必要がないため、Web-EDI提供側は短期間での導入が可能です。また、Web-EDI利用者側としてはインターネット環境を準備すれば、Webブラウザ以外の専用ソフトを準備する必要もなく、すぐにEDIを始めることができるのも魅力です。
Web-EDIは、低コストでお手軽にEDIを始める場合の最適な仕組みです。なお、インターネット技術を使用してはいますが、Web-EDIはその運用の基本として「人による手作業」が必要となるため、Web-EDIとインターネットEDIは分けて考えられるのが一般的です。
「Web-EDIは標準化されていない」
Web-EDIは、その利便性、導入の簡易性などから普及が進んできていますが、従来型EDIやインターネットEDIと比べると、仕様が一元化されておらず、個社独自仕様やカスタマイズされた仕組みが多くあり、多端末現象という利用者に負担を強いる状況も発生しています。
EDI2024年問題など、EDIを取り巻く環境変化への対応として、Web-EDIへの移行を検討する場合、現状の従来型EDIで実現されている運用がどこまでカバーできるか、仕様変更となる点はどこかなど事前に取引先企業と調整し、Web-EDI運用時の負担増加とならないように留意する必要があります。
従来型EDIにふりかかった衝撃的な出来事とは何か。それによって従来型EDIはどのような影響を受けたのか、というのがここからの主題です。
結論から先にいってしまうと、従来型EDIで利用されていた通信回線サービスの一部が終わってしまうのです。
2017年4月17日、NTT東日本およびNTT西日本(以下、NTT東西)は、固定電話網をIP網に移行し、その切り替えを2024年1月に開始する、このタイミングでINSネット ディジタル通信モードも終了すると発表しました。
固定電話網をIP網に移行するとはどういうことでしょうか。固定電話網の世界では、利用者の電話機には銅線がつながっています。その銅線は市中の電柱などを経由し、NTT東西が所有する局舎に接続されています。そこからまた局間をつなぐコアネットワークにつながっているのですが、このコアネットワークは加入者交換機、信号交換機、中継交換機などで構成され、この中で交換を行いながら発信者と着信者を接続しています。つまり、固定電話網はさまざまな交換機類で支えられているのですが、近年、スマートフォンなど携帯電話の利用増加に伴って固定電話の利用が減少の一途をたどり、NTT東西ではこうした交換機類を維持管理するのが難しくなっていました。なんと今や、固定電話の需要はピーク時の半分以下になっているといいます。そこで、コアネットワークを交換機のいらない光ケーブルのネットワーク=IP網に移行することにしたというわけです。
このように、通信事業者の“事情”で行われる技術移行なのですが、利用者にもメリットがないわけではありません。
1つは、音声品質がよくなります。固定電話網では、電話で聞く相手の声が妙に遠かったり、別の回線上の会話が混じって聞こえてくるといったことが、今でもたまにありました。それがIP網移行で発生しにくくなるといいます。
もう1つは、電話料金が安価になることです。これまでは従量制だった料金が、光ケーブルネットワーク移行で全国一律3分8.5円(税抜)になるため、もう通信に関して距離を気にする必要はなくなります。
その一方で、INSネット ディジタル通信モードは、固定電話のIP網への移行を受けて、サービスを終了することになりました。これは、従来型EDIの中にあっては高速かつ安価にデータ伝送できる方式であったため、中心的な役割を担ってきました。INSネット ディジタル通信モードの総契約回線は約200万回線といわれており、そのすべてで通信モードが利用されているわけではないにしても、影響範囲を過少評価することはできないのです。
このまま放置するとどうなるのでしょうか。NTT東西はINSネット ディジタル通信モード利用者に対してはメタルIP電話※3技術の一部を利用した補完策というものを提供するとし、2024年1月が来ても、こちらへ自動的に切り替わることは切り替わります。ただし、補完策はあくまで過渡期のつなぎ策で、具体的には2027年までと終了目途が示されています。
また、このメタルIP電話技術では伝送遅延が発生します。上記で触れたように、IP網ではコアネットワークが光ケーブルになりますが、ここではデータをいったんIPパケットという“小包”のような形に分解して送り、全部送ったあとでその“小包”を順序通りに組み立て直して届けるということを行います。つまり、データ伝送のたびに、IPパケット化、IPパケットの組み立て直しというプロセスが入ります。そのため、どんなに効率化に努めたとしても伝送遅延が発生するのは避けられないのです。主要な情報サービス企業で構成される業界団体である一般社団法人 情報サービス産業協会(以下、JISA)が検証を行ったところ、INSネット ディジタル通信モードの補完策では、現行の最大4倍※4に上る伝送遅延が発生することが判明しました。これは、例えばこれまでデータ伝送に3時間かかっていたとしたら、それが12時間にまで増大するということで、人が活動していない夜間を利用してデータを送っていたとしたら、それが夜間で終わらずに就業時間にまで及んでしまうことを意味します。
また、EDIというのは自社で完結できる業務ではなく、1つの企業に数十社、数百社の取引先があり、その数十社、数百社の先に延べ数百社、数千社の取引先があります。こうした環境では、1社で生じる伝送遅延がわずかであったとしても、全体としては日本の商業活動が麻痺するような深刻な渋滞を引き起こすリスクがあるのです。
※3:メタルIP電話:現行の電話回線と同じメタル回線で供給されるIP網を使った電話回線サービス
※4:補完策検証結果(NTT東日本)
https://www.ntt-west.co.jp/denwa/testbed/pdf/result/04-17-0006.pdf
ここまでは、サービスが終了するINSネット ディジタル通信モードを中心に話をしてきました。固定電話をアナログで利用している分には、特に切り替えが発生することなく引き続き使えることになっているのですが、実は置かれている状況は似たようなもの。IP網への移行により、やはり少なからぬ伝送遅延が発生します。
そのため、JISAではこの機会にインターネットEDIへ移行していこうと会員企業に広く呼びかけています。前回、従来型EDIでは“商流EDI”と“金融EDI”が別々になっているといいましたが、インターネットEDIへ移行すると、これを連携させた仕組みを利用でき、決済事務の効率化というメリットを享受できます。
この目的に向けて、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運用する新プラットフォームが全銀EDIシステム(ZEDI)です。これは一種のサービスで、2018年12月25日、すでに本番サービスに入り、安定的に稼働しています(図2)。
図2:ZEDI利用のイメージ(画像クリックで拡大画像を表示します)
ZEDIでは「総合振込」「振込入金通知」「入出金取引明細」を対象業務としており、例えば前回登場した赤月株式会社は、青空株式会社に対しての振込依頼を、金融機関ではなくZEDIに対して行うことができるようになります。XMLと呼ばれる柔軟性・拡張性の高いデータ・フォーマットが利用されているため、単純な振込依頼ばかりではなく、商流EDI情報(ZEDIでは金融EDI情報と呼称される情報部)も含めることができます。標準的な規約としての通信プロトコルも、従来型EDIでは全銀ベーシック手順と呼ばれるものを使っていましたが、こちらはインターネットEDIのJX手順というものに変わります。(ちなみに、全銀ベーシック手順は、INSネット ディジタル通信モードの終了に伴い、2023年12月31日をもってサポートが終了することになりました)
ZEDIを利用することにより、青空株式会社は売掛金の消込作業を効率化できるとともに、赤月株式会社でも青空株式会社からの「○月○日注文分はいつ支払っていただけましたか」といった入金照合に関する問い合わせ対応を削減することができます。
ZEDIを利用するには、お互いに利用している金融機関がZEDIに対応している必要がありますが、すでに2019年2月25日時点で91銀行、229金庫、計320の金融機関がZEDIへ接続。これからも参加する金融機関はどんどん増えていくものと思われます。
こうした流れを総合的に考え合わせると、今後、従来型EDIからインターネットEDIへの主流が移っていくことはまさに時間の問題で、これからEDIの世界は"大変化"を経験することになるのです。
令和4年(2022年)1月、令和三年度改正電子帳簿保存法(以下、改正電帳法)が施行されました。この法律は、国税関係帳簿書類の保存義務者に対し、国税関係帳簿の全部又は一部について、一定の要件の下で電子的に保存することを認めるものです。法律では、保存に大きく3つの区分を設けています。電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存する電子帳簿保存、紙で受領・作成した書類を画像データで保存するスキャナ保存、電子的に授受した取引情報をデータで保存する「電子取引」がそれらです。EDIはこの中の電子取引に相当します。それぞれ個別に改正事項がありますが、電子取引で留意すべきものとしては、「令和4年1月1日以降、電子取引されたデータを紙に出力して保存することはできない」と要件があります。社内業務のために紙媒体に保存するのは構わないのですが、それらは改正電帳法の保存要件を満たさないため、国税関係の証憑書類とならないことになります。ただ、この法律は現在、令和5年(2023年)12月31日まで宥恕(ゆうじょ)措置が設けられています。あと少しは義務化が猶予されますが、企業としてはどのみち対応しなければなりません。もし、この法律に違反した場合、青色申告企業は青色申告の承認を取り消される可能性、白色申告企業は追徴課税や推計課税を課される可能性があります。
現在EDIを行っている企業の中には、「そもそもEDIデータは保存対象とすべきなのか」と悩まれているかもしれません。実は、国税庁は具体的な言及はしていません。この点については、各社が電子保存対象の起点を何とするのかを決めた上で実施することとなります。例えば、取引先から受信したEDIデータ(仮で請求データとします)そのものを証憑データとして保存対象の起点にするのであれば、当該EDIデータを後述する保存要件に則り保存します。一方、請求データを業務アプリケーションに取り込み、その取り込み後のデータを保存対象の起点にするというのであれば、取り込み後のデータを保存要件に則り保存します。後者の場合、EDIデータの保存は必須とはなりません。
改正電帳法の電子取引における保存要件としては、可視性、見読性、検索性、真実性などの確保が求められています。例えば、検索性の確保として「取引年月日、金額、取引先」によるデータ検索の実現。真実性の確保として、タイムスタンプ付与、データを保管する際にデータの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムや訂正削除ができないシステムの利用、あるいは訂正削除の防止に関する事務処理規程を備えるなどがあげられています。
このように、EDIでの改正電帳法対応は、現実的で実務的でもある電子取引における保存要件をしっかり満たしたデータ保管システムを選ぶことになります。そして、そこへ高いシステム連携性を備えたEDIツールを用いてつなぎこむのが一番の近道といえそうです。
一方、令和5年(2023年)10月からはインボイス制度も始まります。これは、仕入税額控除の仕組みが「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」に変わるというもので、適格請求書発行事業者は、請求書フォーマットをこの方式に変更しなければなりません。EDIで請求データを扱っているのであれば、こちらにも対応が必要です。現在、標準仕様の策定が進められていますが、石油化学業界や流通業界などは、先行して業界標準仕様を定めました。EDIツールをこれから選ぶというのであれば、このような動向にどう対応しているかというのも重要な選定ポイントになるでしょう。
このように、EDIはインターネットEDIへと変革期を迎えています。EDIを活用することで、これまで手作業+紙媒体で処理していた帳票発行に係る業務が電子化されたり、受発注業務が自動化されたりなど、業務効率化の恩恵を受けることができます。
一方で、EDIには様々な通信規格や送受信データフォーマットの規定があり、業界別、取引先毎にそれぞれEDI環境を構築する必要があります。手組で開発・対応することも可能ですが、コストや運用に係る負荷などを加味すると得策とは言えません。
これに対する最適解は「EDIツールを導入すること」です。あらゆる業界と取引がある、多数の接続先と効率よくつなぐ。そして、EDIをトリガーとした社内連携まで一元管理するなど、用途に合わせて適切なEDIツールを導入し、業務のさらなる効率化を図りましょう。
めざしたのはISDN回線代替のやさしいファイル転送
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システム老朽化を契機にACMSで流通BMS対応
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