データ活用・データ連携のお役立ちコラム
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EDI(Electronic Data Interchange、電子データ交換)とは、企業や行政機関がインターネットなどのネットワークを利用して、伝票や文書を電子データとして自動交換するシステムです。EDIは効率的なデータ交換を実現します。本記事では、その概要や仕組み、さまざまなEDIの種類について深掘りしていきます。
EDI(Electronic Data Interchange)とは、企業や組織の間で行われる取引で発生するデータを、コンピュータ間で専用回線や固定電話回線、インターネットなどの通信回線を通じ、電子的かつ自動的にやりとりする仕組みです。それまで、そうしたデータは、発注書や納品書、請求書といった形で帳票として、郵送やFAX、メールといった手段で交換されていました。そのため、帳票の作成や送信に手間と時間がかかりがちで、転記ミスなどのリスクがありました。また、紙を大量に消費し、管理もしなければなりません。しかも、紙の書類は紛失リスクもあれば、検索が困難というデメリットもあります。
しかし、EDIを導入すれば、企業間の取引情報のやりとりを通信回線で自動化できるため、人為的なミスの回避やコスト削減、データの一元管理などが実現するとともに、担当者もそうした煩雑な手続きや管理から解放され、より本質的な業務に専念できます。
ちなみに、経済産業省では電子商取引に関して市場調査を行っています。令和4年度に行われた「デジタル取引環境整備事業」によると、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は 420.2 兆円に上っており、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を示すEC化率は37.5%となっています。商取引の電子化傾向は年々着実に進んでいます。
出典:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/230831_new_kohyoshiryo.pdf
EDIの仕組みは、上記で触れたように、取引に関するデータをコンピュータ間で通信回線を通じてやりとりするものです。その際、データの変換が行われることもあります。そこには大きく、文字コード変換、データフォーマット変換、データコード変換の3種類が存在します。
文字コード変換 文字コードとはコンピュータで扱う文字の仕組みです。シフトJISやUnicodeなどがあります。コンピュータによって扱える文字コードが異なることがあり、自社のコンピュータでデータを取りこめるよう文字コードの変換を行います。
データフォーマット変換 データフォーマットとは、データを送るときに使用する形式です。固定長形式、CSV形式、XML形式などがあります。コンピュータ間でのこうした形式の差異を吸収するため、データフォーマットの変換を行います。
データコード変換 データコードとは、商品につけられたデータ番号を意味します。同じ商品でも企業によって異なるデータ番号が付される場合があり、データコード変換によって自社のコンピュータで扱えるコードに置き換えます。
EDIも、詳しくみていくといくつかの種類に分かれます。最もよく知られている分類として、標準EDI、個別EDI、業界VANの3種があります。
共通規格を使用するEDIです。この共通規格の中には、取引規約、運用ルール、フォーマット、データ交換形式などが含まれます。一般的に、共通規格は中立的な組織によって制定されます。これによって、企業間のデータ交換を効率化でき、業界全体で利用できるというメリットを享受できます。ただ、取引先ごとの調整は不要な半面、柔軟性に欠けることもあります。
カスタマイズ可能なEDIです。取引先ごとに通信形式や識別コードを調整できます。そのため取引先の要件に応じた、きめこまやかなルール設定が可能です。ただし、この調整の際には発注側がリードする場合が多く、受注側は発注者の要望対応に追われる傾向があります。そのため、管理も複雑になりがちです。
業界専用のEDIプラットフォームです。特定業界向けに商品や取引先コードが統一されています。その意味では、標準EDIの一種と見ることもできます。業界共通規格が存在するため、同じVANを利用する取引先と別途調整することなく接続可能です。代表的な業界VANとして、酒類・加工食品業界向け、お菓子業界の卸・メーカー向け、医療機器業界向けなどがあります。
EDIは当初、専用線や固定電話回線を使用してデータ交換を行う仕組みとして発達してきました。そうした中、インターネットが台頭し、通信インフラとして社会に広く普及したため、インターネットを使ってEDIを行う取り組みが出現しました。それがWeb-EDI、インターネットEDIです。Web-EDIとインターネットEDIは、専用システムを用いる従来型EDIに比べ低コストで導入できるというのも大きなメリットで、これまでEDI導入をあきらめていた企業や組織からも注目が集まっています。
Web-EDIとは、通信回線としてインターネットを使用し、Webブラウザを用いて手軽に通信相手先とデータのアップロードやダウンロードを実現する仕組みです。これにより、企業間の商取引業務を効率化することが可能です。専用システムや通信機器などを準備する必要がないため、Web-EDI提供側は短期間での導入が可能です。またWeb-EDI利用者側も、インターネット環境を準備すれば、WebブラウザだけですぐにEDIを始めることができるのも魅力です。
ただ、インターネット技術を使用してはいますが、Web-EDIは基本的に「人による手作業」が必要になります。また、仕様が一元化されておらず、個社独自仕様やカスタマイズされた仕組みが多くなりがちな点にも注意が必要です。さらに、インターネットを使用するため、相応のセキュリティ対策を施すことを考えなければなりません。
一方、通信回線にインターネットを利用するという意味では、インターネットEDIとうものも存在します。こちらは、回線接続にルータやSSL/TLSアクセラレータなどといった通信機器を用います。セキュリティを重視した規約があり、データはすべて暗号化された状態で交換されます。これ以外にも、最新のさまざまなICTが利用できるため高速・高品質のデータ伝送が可能で、市場で提供されるさまざまなサービスと高い親和性があります。ユーザ数が多く規模の経済が効くため、設備コストやサービス料金を安価に抑えられます。特に、距離に関係なく一律のサービス料金で利用できるため、常時接続可能になることは大きなメリットです。また、Web-EDIと異なり自動化が可能で、「人による手作業」が発生しない点もインターネットEDIの大きな特長となっています。
EDIの導入には多くのメリットがあります。ここではその中でも重要なポイントである、コスト削減、業務効率化、内部統制強化について見ていきます。
さまざまな角度からのコスト削減が可能です。まず 紙文書を減らすことができるためペーパーレスが実現できます。また、請求書や納品書といった帳票の印刷・郵送にかかるコストも削減できるとともに、紙文書を保管するスペースコストの負担からも解放されます。さらに、手作業でのデータ入力や書類作成を止めて自動化できるという省力化効果があり、担当者がより本質的な業務に専念できるというメリットもあります。
EDIを利用すると、発注側が入力した注文データが直接相手のコンピュータに取りこまれ、受注データとして登録され、注文書の作成や送付、受注側の注文の受付手続きなどが不要になります。そのため、業務プロセスが迅速化します。また、登録された受注データは、出荷の手配、納品書や請求書の作成に流用でき、手間や工数を大幅に削減できます。結果的に、注文から納入までの時間が短縮するとともに、取引先とのさまざまな情報共有が迅速化し、確度の高い意思決定がすばやく行えます。
注文書や請求書などの帳票がデータで共有されるため、内部統制をスムーズに遂行できます。データは正確で追跡可能であり、監査やコンプライアンスの観点から有用です。また、EDIは自動化されたプロセスでデータを交換するため、データの一貫性と信頼性も向上します。人為的なミスが少なくなるという効果もあります。さらに、EDIではアクセス制御やセキュリティ強化が可能であり、全体として内部統制の強化を図ることができます。
EDIシステムの導入を検討する際には、事前に注意しておきたいポイントがいくつかあります。
まず、NTT東日本/NTT西日本が提供していたISDNサービス(INSネット(ディジタル通信モード))の提供が2024年1月をもって終了したことを念頭に置いておくことです。すでに通信インフラとしてインターネットが主流になっていることもあり、これからはインターネットを利用できるEDIシステムを選ぶ必要あります。
また、データ互換性の確認も重要です。取引先との間でまちがいなくデータ交換を行うためには、あらかじめ通信プロトコルやデータフォーマット、データコードなどを知り、導入しようとしているEDIシステムがこれらに対応しているかどうかを確かめましょう。
さらに、システム導入の費用対効果も試算してください。EDIを導入したはいいが、コスト負担が重荷になってしまった、というのでは本末転倒です。真に業務効率化、コスト削減が図れるシステムを選ぶことが肝心です。
情報サービス業界の発展と社会への貢献を推進している団体 一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)では、インターネットEDIへ移行していこうと会員企業に広く呼びかけています。インターネットEDIでは商取引業務を効率化するだけでなく、銀行などとの間で生じる金融EDIも連携させることができます。決済業務の効率化というメリットも享受できるのです。
この目的に向けて、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運用する新プラットフォームが、全銀EDIシステム(ZEDI)です。ZEDIは2018年12月25日に本番サービスが開始され、安定的に稼働しています。(図1)
図1:ZEDI利用のイメージ(画像クリックで拡大画像を表示します)
ZEDIでは「総合振込」「振込入金通知」「入出金取引明細」を対象業務としており、たとえば、A社はB社に対しての振込依頼を、金融機関ではなくZEDIに対して行うことができるようになります。XMLと呼ばれる柔軟性・拡張性の高いデータフォーマットが利用されているため、単純な振込依頼ばかりではなく、商流EDI情報(ZEDIでは金融EDI情報)も含めることができます。標準的な規約としての通信プロトコルも、従来型EDIでは全銀ベーシック手順を使っていましたが、こちらはインターネットEDIのJX手順に変わります。ZEDIを利用することにより、売掛金の消込作業を効率化できるとともに、「○月○日注文分はいつ支払っていただけましたか」といった入金に関する問い合わせ、およびその問い合わせに対する対応を削減することができます。
ZEDIを利用するには、支払企業側、受取企業側双方が利用している金融機関がZEDIに対応している必要がありますが、2024年4月1日時点で105行、246金庫を始めとして計979の金融機関がZEDIへ接続しています。こうした流れを総合的に考え合わせると、今後、従来型EDIからインターネットEDIへの主流が移っていくことはまさに時間の問題で、これからEDIの世界は"大変化"を経験することになるのです。
令和4年(2022年)1月、令和三年度改正電子帳簿保存法(以下、改正電帳法※)が施行されました。この法律は、国税関係帳簿書類の保存義務者に対し、国税関係帳簿の全部又は一部について、一定の要件の下で電子的に保存することを認めるものです。法律では、保存に大きく3つの区分を設けています。電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存する電子帳簿保存、紙で受領・作成した書類を画像データで保存するスキャナ保存、電子的に授受した取引情報をデータで保存する「電子取引」がそれらです。EDIはこの中の電子取引に相当します。それぞれ個別に改正事項がありますが、電子取引で留意すべきものとしては、「令和4年1月1日以降、電子取引されたデータを紙に出力して保存することはできない」と要件があります。社内業務のために紙媒体に保存するのは構わないのですが、それらは改正電帳法の保存要件を満たさないため、国税関係の証憑書類とならないことになります。もし、この法律に違反した場合、青色申告企業は青色申告の承認を取り消される可能性、白色申告企業は追徴課税や推計課税を課される可能性があります。
※注釈:改正電帳法としては「令和五年度改正電子帳簿保存法」も存在していますが、本文中ではEDIに関係に深い法改正との位置づけで、令和三年度改正電子帳簿保存法を用いて説明をしております。
現在EDIを行っている企業の中には、「そもそもEDIデータは保存対象とすべきなのか」と悩まれているかもしれません。実は、国税庁は具体的な言及はしていません。この点については、各社が電子保存対象の起点を何とするのかを決めた上で実施することとなります。例えば、取引先から受信したEDIデータ(仮で請求データとします)そのものを証憑データとして保存対象の起点にするのであれば、当該EDIデータを後述する保存要件に則り保存します。一方、請求データを業務アプリケーションに取り込み、その取り込み後のデータを保存対象の起点にするというのであれば、取り込み後のデータを保存要件に則り保存します。後者の場合、EDIデータの保存は必須とはなりません。
改正電帳法の電子取引における保存要件としては、可視性、見読性、検索性、真実性などの確保が求められています。例えば、検索性の確保として「取引年月日、金額、取引先」によるデータ検索の実現。真実性の確保として、タイムスタンプ付与、データを保管する際にデータの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムや訂正削除ができないシステムの利用、あるいは訂正削除の防止に関する事務処理規程を備えるなどがあげられています。
このように、EDIでの改正電帳法対応は、現実的で実務的でもある電子取引における保存要件をしっかり満たしたデータ保管システムを選ぶことになります。そして、そこへ高いシステム連携性を備えたEDIツールを用いてつなぎこむのが一番の近道といえそうです。
一方、令和5年(2023年)10月からはインボイス制度も始まりました。これは、仕入税額控除の仕組みが「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に変わるというもので、適格請求書発行事業者は、従来の請求書フォーマットをインボイス制度に対応したものへと変更しなければなりません。EDIで請求データを扱っているのであれば、こちらにも対応が必要です。EDIツールをこれから選ぶというのであれば、このような動向にどう対応しているかというのも重要な選定ポイントになるでしょう。
このように、EDIはインターネットEDIへと変革期を迎えています。EDIを活用することで、これまで手作業+紙媒体で処理していた帳票発行に係る業務が電子化されたり、受発注業務が自動化されたりなど、業務効率化の恩恵を受けることができます。
一方で、EDIには様々な通信規格や送受信データフォーマットの規定があり、業界別、取引先ごとにそれぞれEDI環境を構築する必要があります。ゼロスクラッチで開発・対応することも可能ですが、コストや運用に係る負荷などを加味すると得策とはいえません。
これに対する最適解は「EDIツールを導入すること」です。あらゆる業界と取引がある、多数の接続先と効率よくつなぐ。そして、EDIをトリガーとした社内連携まで一元管理するなど、用途に合わせて適切なEDIツールを導入し、業務のさらなる効率化を図りましょう。
めざしたのはISDN回線代替のやさしいファイル転送
ACMS Apexを基盤に高品質なサービスをスピーディーに提供
EDIシステムの刷新をきっかけに
ACMS Apex + RACCOONで、グループ全体のデータ連携基盤を実現
EDIセンター事業のさらなる充実・発展が期待できる
ACMS Apexへのアップグレードを決定
変化をチャンスとするためインターネットEDI 対応を早期実現
インフラに選んだのは“止まらない”ACMS Apex
システム老朽化を契機にACMSで流通BMS対応
2ヶ月足らずの短期移行で軽減税率対策補助金獲得にも成功
物流センター刷新を契機にめざした受発注業務の効率化
成城石井が選んだ流通BMS対応EDIで活躍するのは ACMS E2X
固定電話のIP網化でインターネットEDI移行を早期決断
セキュアな2ノード構成ACMS B2Bへアップグレード
喫緊の課題だった発注定常業務の大幅削減
新EDI基盤に選ばれたのはACMS WebFramer
流通BMS共同実証への参画でACMS B2B LEを導入
さらなる業務効率向上をめざして、EDIインフラを ACMS E2Xに集約
フォーマット違いのデータを自動変換してリポジトリへ
ETLツールの役割も果たせるACMS B2B LE
基幹EDIインフラをAS/400からAWSへ
ACMS Apex、RACCOONが短期開発に貢献