Case Study導入事例

株式会社セゾンテクノロジー(旧セゾン情報システムズ)株式会社セゾンテクノロジー(旧セゾン情報システムズ)(情報・通信)導入事例

※本記事の企業名・所属・役職は取材当時(2022年10月)のものです。
めざしたのはISDN回線代替のやさしいファイル転送
ACMS Apexを基盤に高品質なサービスをスピーディーに提供

  • 課題
    カード会社向けEDI業務においてISDN回線の代替策提供ニーズが浮上
    タイムリミットを考えると迅速な新サービス開発が絶対条件
  • 評価
    ACMS Apexを基盤に実質6カ月でHULFT Multi Connect Serviceをリリース
    HULFT+ACMS Apexでマルチプロトコルを実現PCI DSS、マルチテナント機能もフィット

カード会社向けEDI業務で求められたISDN回線代替策

株式会社セゾン情報システムズは、西武流通グループの情報システム会社を出自とするシステムインテグレータである。ファイル連携ミドルウェアとして業界No.1シェアを誇るHULFTの開発元として知られる。2024年にありたい姿として「データエンジニアリングカンパニー」を掲げ、次世代クラウド型データ連携プラットフォームHULFT Squareの開発、HULFT製品群のグローバルシェア拡大などに力を入れている。

一方、同社は今もクレディセゾングループの戦略IT企業という顔を持ち合わせている。その一環でクレジットカード会社のEDIシステムの構築・運用を担ってきた。クレジットカードでのショッピングというのは、消費者の行動を起点に三者間で取引が生じる。クレジットカード会社と加盟店と金融機関だ。この間の情報連携にEDIシステムが利用されており、数百に及ぶ加盟店、金融機関などの接続先がある。

そうした中、降ってわいたのがISDN(INSネットディジタル通信モード)回線のサービス終了発表だ。加盟店、金融機関との通信にISDNは主流の回線として使われており、速やかにこの回線を何らかの形で置き換える施策が必要だった。

ファイル転送新サービスに基盤としてACMS Apexを採用

そこで同社は新しく、インターネットベースのクラウド型ファイル転送サービスを構想した。2024年1月に訪れるXデーより前に、ISDN回線の切り替えに直面した企業が、できるかぎりソフトランディング可能なサービスを提供することにしたのだ。

正式に社内承認を得たのは2020年4月。タイムリミットを考えると急ぐ必要があった。同社としては、運用負荷を極力軽減できるものにしたかった。また、接続先企業の既存環境がそのまま生かせるよう、通信プロトコルの選択肢も最大限幅広く確保したかった。ゼロスクラッチですべて自社開発することも考えたが、それにはあまりに時間がなかった。

それで着目したのがACMS Apexだった。これをサービスの基盤に据えようと考えたのだ。ACMSシリーズは、これまでのEDI業務ですでになじみがあった。加えてACMS Apexは、標準でクレジット業界のグローバルセキュリティ基準 PCI DSS※1に準拠しており、このサービスにうってつけだった。さらに、全銀TCP/IP手順広域IP網版※2やSFTPなどマルチプロトコル対応しており、Web API機能もあるためわかりやすい運用管理画面を構築するのも容易だった。しかも、クラスタ機能など高可用性を備えている。クレジットカードのEDI業務は、まさに24時間止められない。株式会社セゾン情報システムズ フィナンシャルITサービスビジネスユニット 業務ソリューション部 部長 姫野 輔氏は、採用理由を次のように語る。「接続先企業が数百社あっても、通信プロトコルのために新サービスを導入できない事態は避けたいと考えました。そうした中、日本企業で多くの実績がある当社のHULFTと、マルチプロトコルのACMS Apexを組み合わせることで、最強のプロトコルラインナップになると考えました。また高可用性が担保されているところもありがたかったです。ノード振り分けの考え方がすでにあって、こちらであらためて設計せずに済みました。」

一方、PCI DSS準拠について語るのは、株式会社セゾン情報システムズ DIビジネス統括 戦略推進室 室長 福泊 晶氏だ。「最初にACMS Apexの説明を聞いたときから、次に選ぶのはこれしかないと思っていました。PCI DSS要件は複雑で、対応するとなると相当に工数がかかります。それを任せられるのは助かりました。また、DALのエンジニアはEDI領域に精通しており、目線を合わせて話ができるのもよかったですね。」

ちなみに、PCI DSS準拠では、ACMS Apexの他にも実現可能性を探った。しかし、いずれもPCI DSS準拠はオプション扱いで、この機能が入ったソリューションとしては最もリーズナブルだったという。

※1 Payment Card Industry Data Security Standard
※2 全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)

「HULFT Multi Connect Service」エンタープライズ版に続きライト版へ

こうして、実質開発期間6カ月という短期間で誕生したのが、占有型サービスの「HULFT Multi Connect Service エンタープライズ版」(以下、エンタープライズ版)だ。インターネット回線によるファイル転送に特化、なかでも運用負荷の低い管理画面に特長がある。福泊氏はこう語る。「EDIは社内と社外の狭間にあり、ネットワーク担当者、インフラ担当者、アプリケーション担当者などと調整業務が必要で、そこに多くの時間と工数がかかっていました。HULFT Multi Connect Serviceはその煩雑さを払拭、インターネット回線が敷設されていれば、あとは担当者一人で設定を完了できるシンプルさ、接続先との疎通テストの容易さが最大のセールスポイントです。」

エンタープライズ版は2022年2月より提供を開始したが、姫野氏らはそこからさらに歩みを進めた。「エンタープライズ版を開発しているときから、“ISDN回線切り替えにそこまでコストをかけられないけど、このままでは困る”という企業がおられるのはわかっていました。そこで構想したのが、共有型サービスの『HULFT Multi Connect Service ライト版』(以下、ライト版)です。若干の制約は生じるものの、共有モデルにより同じ機能を安価にご利用いただくことを考えました」(姫野氏)。また福泊氏は次のように補足した。「ACMS Apexにマルチテナント機能が存在するので、ライト版の開発は技術的に可能だと当時から読んでいました。あとはサブスクリプションライセンスの話だけで、DALとは前向きに協議でき、すぐにGOサインを出すことができました。」

エンタープライズ版は、これまでEDIシステムの構築・運用を担ってきたクレジットカード会社で導入されており、そのうち1社では接続先企業90%以上がカバーできていることがわかっている。一般的なEDIでも80%が限界と言われているからこれは驚異的だ。また1社は完全自社運用を行っているが、同社に対して問い合わせはまったくない。さらに接続先企業の中から新たなエンタープライズ版導入企業も登場した。

一方、ライト版は2022年10月の提供開始に向け、今まさにラストスパートの段階にある。これによって幅広いファイル転送ニーズを受けとめられる、と両氏は意気ごむ。

将来的に、HULFT Multi Connect ServiceはHULFT Squareとの連携を予定している。このプラットフォームがデータ編集・加工機能を担い、利用企業からデータ編集の要請があればこちらで引き受ける形でお客様のDX実現に貢献していく。

HULFTを始め、それぞれの領域でカテゴリトップをめざしテクノロジーを磨きあげ、磨きあげたテクノロジーの掛け合わせで活動領域を広げていくセゾン情報システムズ。この同社の活躍を支えるのがACMS Apexだ。

※ご紹介したサービスの詳細はこちら

HULFT Multi Connect Serviceシステムイメージ

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