データ活用・データ連携のお役立ちコラム
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御社に古いシステムは残っていませんか? 構築したシステムが長く現役で稼働することは喜ばしいことです。しかし、技術革新著しいITの世界においては、レガシーシステムを温存することで、その恩恵を受けられず時代に遅れを取ることもあります。この記事では、古いシステムを移行するレガシーマイグレーションについて解説します。
レガシーマイグレーションとは、古いシステムを新しいシステムに移行することです。レガシー(legacy)とは英語で「遺産」を意味しており、IT業界では「過去の遺産」など、古いものを指すときに使われます。
ここで古いシステムとは、一般的にはメインフレームやオフコンなどで運用されているシステムを指します。しかし、黎明期のWindowsやUNIX系OSで構築されたシステムをオープンレガシーとしてレガシーシステムに分類することもあります。
一方、新しいシステムとは、新しく登場した技術や製品をベースにしたシステムのことです。よくシステムの中核として選択されるのは、その時点で最新のWindows ServerやLinux系Serverです。それらの上で、VMwareなど仮想化環境が構築されることもあります。最近ではクラウドも大きな選択肢の一つになっています。
レガシーマイグレーションに類似した用語として、モダナイゼーションがあります。 モダナイゼーション(modernization)とは英語で「近代化」を意味します。レガシーマイグレーションとモダナイゼーションはどう異なるのでしょうか。前者は、旧システムから新システムへ中身を変更することなくそのまま移行します。それに対して後者は、単にシステムを新しい環境に移行させるだけでなく、システム全体を最適化し、改善することも含意しています。具体的には、その中には、古いコードを書き換えたり、新しい機能を追加したり、システムアーキテクチャ自体を再設計するといったことが行われます。
レガシーマイグレーションは、企業が現代の技術革新の恩恵を受けながら、競争力を維持するために不可欠です。なぜなら、古いシステムを使い続けることには多くのマイナスポイントがあるからです。
まず、古いシステムは能力に限界があり、当時はその限界に合わせて設計が行われました。たとえば、メモリ容量が十分ではないために、半角カタカナ表記で運用するといったことが行われていました。現在の感覚でいえば、情報量が十分とはいえません。
また、長く利用している間に幾度も改修が行われ、古いシステムは複雑化が進んでいます。一部はドキュメントが失われ、ブラックボックスになっているケースもあります。これは、システム運用において大きな潜在的なリスクになり、保守作業も困難になります。
古いシステムはさらに、その技術特性が“孤立”せざるを得ない場合が多く、新しい技術やビジネスモデルを適用しにくいという側面があります。これは経営とITが不可分になった今日、企業が競争優位を維持し続けることを妨げます。
加えて、古いシステムに熟知した人材が定年退職を迎えるなどして減少し続けており、確保しにくくなっています。システム保守の継続が、物理的な面からも、コストの面からも難しくなっています。
それでは、レガシーマイグレーションを実施するメリットは、どのような点にあるでしょうか。メリットはたくさんあります。ここでは、その中から主なものを3つ挙げてみます。
システムコストには、ハードウェアやソフトウェアを購入する費用としてのイニシャルコストと、システムを運用する上で必要になるランニングコストがあります。レガシーシステムはハードウェアやソフトウェアの金額が高止まりしている場合があり、これを安価なオープン環境へ移行することでイニシャルコストを下げることができます。また、ランニングコストに関しても、オープン環境ではメンテナンスエンジニアの確保が容易になることから、これを低減することが可能です。
新しい技術やプラットフォームを採用することで、周囲のシステムとの連携性がよくなります。これはデータやアプリケーションの活用が高まるということで、市場の動向や顧客の要求に迅速に適応し、イノベーションを推進する能力が向上します。企業をとりまく環境が時々刻々と変化する現代、新しい動きにシステムの点でもすばやく反応できることは、持続的な成長を果たす上で非常に重要です。
レガシーマイグレーションの最初のステップは現状分析です。古いシステムで所有しているIT資産の棚卸しを行います。棚卸しの結果、現在利用していないシステム群やデータが明らかになるため、今後の処遇を考えることができます。ここで思い切ってそれらを処分できれば、より身軽に新システムへ“引っ越し”することができます。時間がないために新しい環境への移行を優先するという場合でも、すでに整理がついていればアクションを起こすのは容易です。
一方で、レガシーマイグレーションもいいことづくしというわけではありません。これを実施するデメリットもいくつかあります。ここでは、メリットと同様に、主なものを3つ挙げてみます。
レガシーマイグレーションの実施には、現状分析に始まるIT資産の棚卸し、移行方法の調査と選択、移行システムの調達、移行作業、移行結果を確認するためのシステムテストなど、数多くのステップを踏みながら進めなければなりません。それぞれ時間と労力がかかり。小規模なシステムでは数か月、大規模なシステムになると数年を要することもあります。「必ず移行を成功させる」という覚悟が求められるプロジェクトになります。
システム移行には、専門的な知識や経験が求められます。また、古いシステムと新しいシステムの両方の技術を深く理解している必要があり、綿密な計画を立案する力、立てた計画を実行する力も欠かせません。レガシーマイグレーションは、そのような人材を確保した上でなければ進められません。取り組み方をまちがうと、移行プロセス中にダウンタイムやシステム性能の低下が発生したり、最悪、移行後にアプリケーションやデータを損失するなどといったことも考えられます。
新しいシステムでは新しいスキルセットが要求されるため、従業員が習熟するには研修を行うなどの取り組みが必要です。それでもすぐに慣れるのは難しく、一時的には生産性の低下を覚悟しなければならないかもしれません。こうした事態を回避するために、ユーザーインタフェースなど従業員が操作する部分について、新しいシステム古いシステムに似せて構築するといった方法が取られることもあります。
レガシーマイグレーションを実施する手法として知られているものに、リホスト、リライト、リビルドの3種があります。それぞれについて解説します。
リホストは、レガシーマイグレーションの手法の一つであり、古いシステムを新しい環境に移行する際に、アプリケーションのコードやビジネスロジックを変更せずに、基盤となるハードウェアやオペレーティングシステムだけを更新するアプローチです。メリットは、移行にかかる時間とコストが比較的少なくてすむことです。また、今までのシステムの価値を保持しながら、運用コストの削減、パフォーマンスの向上、スケーラビリティの改善を図れます。しかし、古いコードや設計を引き続き使用するため、将来的なメンテナンスや拡張が難しくなるリスクもあります。
古いプログラミング言語やプラットフォームを使用しているシステムを、新しい言語や技術に移行させるという手法です。ビジネスロジックを保持しつつ、コードベースを最新の言語で書き直すことにより、システムの保守性、拡張性、そしてセキュリティを向上させることができます。しかし、大規模なシステムでは、リライトによる移行は複雑になったり、難易度が高いために非常に時間がかかるといった可能性もあります。
既存のシステムの仕様や設計を完全に見直し、最新の技術を用いてシステムを一から再構築する手法です。そのため、システムの拡張性と柔軟性を大幅に向上させることができ、将来のビジネスニーズに対応するための新機能やサービスの追加が容易になります。しかし、デメリットも存在し、プロジェクトの複雑さと規模が大きくなります。予算超過やスケジュールの遅延といったリスクが最も発生しやすいのはこのアプローチです。
レガシーマイグレーションに失敗しないためには、事前に入念な計画を立て、準備を行って進める必要があります。ここでは、中でも大きなポイントとなる4点について解説します。
レガシーマイグレーションでのデメリットでも触れたように、このプロジェクトを成功させるためには、この領域に精通した人材を確保することが何より重要です。古いシステムから新システムへデータや機能が正しく移行できるよう互換性を十分に検証したり、移行過程でデータが損なわれたり、不整合が生じたりしないようデータの整合性と品質を保つといったマイグレーションプロセスに不可欠な業務は、専門人材の存在なくして実現することはできません。
レガシーマイグレーションで移行されるシステムの多くは、企業にとって非常に重要なシステムです。たいていは移行プロジェクト期間中も利用が継続されます。システム利用にできるかぎり支障が生じないよう、入念かつ綿密に移行計画を検討する必要があります。ハードウェアはいつ調達できるのか、システム実装はどのような順で進めるのか、データは段階的に移行するのか、一気に移行するのかなど、ユーザー部門とも密に連携しながら、抜け漏れのないスケジュールを立て、立てたスケジュールを粛々と遂行しましょう。
レガシーマイグレーションは、古いシステムを見直す絶好の機会です。現状分析において資産の棚卸しを行い、不要なもの、利用されているが不満の声が寄せられているもの、新たなビジネス要件に照らして改善した方がよいものなど、見極めを進めてください。単に新しい環境へシステムを移すだけでなく、移行に合わせて中身をアップデートできれば、より利便性の高い、より企業活動に貢献できるシステムに進化できます。
どのレガシーマイグレーション手法を採用するかは、このプロジェクトによってどのような効果を得たいかで決まります。とにかくコストを下げたいのか、安全に移行することが最善なのか、少々リスクをおかしたり、時間やコストがかかってもいいからこの機会にシステムを全面刷新したいのか。こうした目的に合わせて、「リホスト」「リライト」「リビルド」の選択を行います。
マイグレーションで重要なプロセスの一つにデータ移行があります。ここで直面しがちな課題として、作業が煩雑で時間・コストがかかる、プログラムの変更や不具合を直接受けるため、それによる手戻りが多発してしまう、そもそもデータ移行を任せられるIT人材がいない、かといって外部に依頼すると移行作業費が高額になってしまう、といったことがあります。
そこでおすすめなのが、データ移行ツールの利用です。データ・アプリケーションのデータ ハンドリング プラットフォーム「RACCOON」は、レガシーマイグレーションにおいて、データ変換やデータ加工を含めたデータ移行をノーコード化するとともに、開発品質・期間を大きく改善することが可能です。
「RACCOON」の利用により、データ移行の工数が大幅に削減できるとともに、プログラム品質が均一化します。また、テスト支援機能があるため、検証作業を効率化できる効果もあります。トライ・アンド・エラーで進めるアジャイル開発にも最適です。レガシーマイグレーションの成功に大きく貢献するツール、ぜひ採用をご検討ください。
ここまで、レガシーマイグレーションの概要やその意義、メリット、デメリットについて見てきました。最終的に、これは企業が現代の技術革新に適応し、持続可能な成長を達成するための重要な取り組みです。これにより、企業は新しい市場の機会を捉え、顧客のニーズに迅速に対応し、イノベーションを推進することができます。御社に残っているレガシーシステムがあれば、ぜひこれを機に移行を検討されることをお勧めします。
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