データ活用・データ連携のお役立ちコラム
データ活用・データ連携のお役立ちコラム
システム連携に注目が集まっています。企業には分散化が進んだ情報システムがあり、また近年はクラウドサービスの導入も進んでいます。それらの間でいかにスムーズな連携が図れるかは重要な経営課題となっています。一体、システム連携はなぜ必要で、これを実現するメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは、これらを明らかにするとともに、システム連携・データ連携を実現する上での方法や基礎技術、課題についても合わせてご紹介します。
企業の情報資産を有効活用するための最大の障害は、サイロ化されたシステムの存在です。メインフレームによる集中処理から、ダウンサイジングによって業務・部門別に分散処理を進めた結果、企業内には多種多様なシステムが混在し、情報活用の流れが分断される事態が生じてしまいました。さらに、クラウドサービスの普及やM&Aなどによるビジネスプロセスの統合の流れも加速し、企業内外のシステムを統合・連携することが情報活用における緊急課題とされています。企業がシステムの統合・連携を図る際には、次の3つの連携を考慮する必要があります。
これら3つの連携は互いに関連するため、企業がシステム連携を図る際に次の3つの視点で自社が活用するシステムの環境要件を見極め、最適な方式を選択して連携処理を行うことが求められます。
対象となるシステムの数/プラットフォームの種類/データフォーマットの種類/ネットワークの速度 など
各システムでのデータ・処理・アプリケーションの連携の度合い(統合か連携か)とデータ量、連携処理量などのボリューム/連携の優先順位など
リアルタイム・非同期・オフラインなど、連携処理に必要とされる時間/日次・月次・年次といった連携のスパン など
システム連携やデータ連携は、ある意味、業務の自動化を意味します。それが実現されていなければ、その間で人が介入することになります。データの収集・整形・加工といった工程は、人にとって非常に労働集約的な作業で時間がかかるものです。ここで手間取ってしまうと、なかなか本来の業務に入れず、データの鮮度が落ちてしまいます。システム連携やデータ連携を実現すれば、人間を介さずシステムどうしがうまく連動できるだけでなく、その途中でデータのフォーマット変換や四則計算なども自動的に行えるため、迅速に業務を前に進めることができます。
システム間で人が介入するということは、人ならではのミスが入りこむリスクも高まります。データの飛ばし見や誤入力がその代表的なものです。これらを確実に防ごうと思えば、別途チェック工程を設ける措置を取らなければなりません。人を介さずにシステム連携で処理を行ったり、正しいデータを複数システム間で共有できる仕組みを構築すれば、スピードを重視しながら業務品質を高めることができます。
データは分散していると、うまく力が発揮できません。たとえば、オンラインショップにおいて、ある新製品がなぜ売れなかったかを分析したい場合、販売情報や顧客情報、問い合わせ履歴情報などに加えて、気象情報、競合情報、社会情勢情報など、さまざまなデータを突き合わせることによって、その全容が見えてきます。いつでも自在に分析できるよう、データを一か所に収集・整形しておく体制を構築することが重要です。
データの収納場所が散在すれば、それぞれメンテナンスに気を配らずを得ず、手間やコストがかかります。マスターデータを管理する場合を考えてみましょう。これが複数存在すると、何か改修する必要が生じた場合、その数だけ作業が発生し、数が多いということはミスが生じるリスクも高くなります。データはできるかぎり一元管理し、メンテナンスを容易にするのがコスト削減の近道です。
基本的なシステム連携のパターンとして以下の6つの方式が挙げられますが、実際のシステム連携では複数のパターンを組み合わせて行われることもあります。
ファイル転送はデータ連携の基本的な手法として、バッチ処理を中心に他の連携方式でも用いられています。ネットワークプロトコル(信号送信手順)には主にTCP/IPが用いられ、大量データ送信に適するというメリットがあります。しかし、サーバ数が増加すると管理負荷が増大し、処理速度に影響を及ぼすため、リアルタイムでの連携には不向きです。
ディスク共有によるデータ連携はアプリケーションへの負荷が最小限で済むことから、リアルタイム連携に適し、メインフレームで常用されている方式です。ネットワーク経由の処理であるため大容量のデータ共用には適さず、原則としてシステムと共有リソースが同じLAN上に配置されている場合に適用するのが良いでしょう。
既存システムがレガシーである場合、拡張機能を別サーバ上に構築し、直接参照する手法とコピーを作成する手法により、データベースを共有してデータ連携を図る場合があります。
ツールを利用したシステム連携方式は、以下の3つに大別されます。
統合運用管理ツールや自社構築したシステムを利用し、複数システムのバッチ処理を効率よく連携させます。ただし、メインフレーム環境の場合は、連携のレベルに制約がでる可能性があります。
アプリケーションサーバ製品の機能により既存システムのオンライン統合を図り、新しいシステムや統一的なインターフェースを実現します。
MQなどのメッセージ連携ツールを利用して、バックヤードから既存システム間の処理を連携させます。耐障害性が高くリアルタイム連携に適しますが、大量データ送信ではファイル連携より非効率となります。
アプリケーションサーバ製品は、レガシーシステムやDBMS(データベース管理システム)製品、TPモニター製品との接続機能をバックヤードに備えており、アプリケーションミドルウェアを利用してリアルタイムでのシステム連携を図ることができます。
HTTPなどの標準的な技術を活用し、Webサービスを通じて企業内外のシステム連携やアプリケーション相互の連携を図る方式も浸透しています。WebサービスにおけるメッセージはXMLをベースに行われますが、その際のプロトコルとして以下の2つが主に適用されています。
XMLをベースとした言語WSDL(Web Services Description Language)により定義されたサービスを送受信するプロトコルです。高機能で複雑な処理がハンドリングできるよう設計され、直感的な操作性とカスタマイズの容易さに優れます。
HTTP上でのXML処理を前提に開発されているため、SOAPに比べて定義がシンプルでパフォーマンスも高いとされています。特別なサーバやクライアント環境を整えなくても、WebブラウザにURLを入力するだけで動作確認が可能です。
アプリケーションミドルウェアを活用したシステム連携の1手法として、EAI(Enterprise Application Integration:企業アプリケーション統合)が注目されています。EAIは以下の基本機能を持ち、複数のDB内にサイロ化されたデータを統一的に管理することができるため、システム連携だけでなくB2BやB2CのEC市場での効果的なデータ連携基盤としても活用されています。
プラットフォームや主要なアプリケーションのアダプタ(中間装置)となり、インターフェースの異なるシステムのデータを確実に送受信します。
各システムのデータ形式やプロトコルを認識し、アダプタから受け取ったデータの形式を変換するエンジンの機能を果たします。CIIやUN/EDIFACT、ANSI X.12などのEDI 標準や各種RDB、XML、SAP IDoc、フラットファイルに及ぶまでのさまざまなデータ形式やプロトコルに対応します。
出力されたデータを、その内容に応じて自動的に目的とするシステムに振り分けます。複数システムへの送信も可能です。
上記のアダプタ、フォーマット変換、ルーティングの機能を統合して、実際の業務処理に最適なビジネスプロセスの自動化を支援します。また、複数のシステムを経由する多層的なデータ連携の流れも自動化でき、専門的な知識が必要とされる同フローの指定をノンプログラミングで提供しているEAIもあります。
実際にEAIを導入し、システム連携を図るにあたっては、以下のポイントに注意して最適な連携体制をご構築ください。
システム連携は社内の情報活用の仕組みを再構築するために行いますので、データ連携のパフォーマンスを高めることが最も重要な課題となります。システム間のデータ連携は、システムAからデータをExtract(抽出)し、システムBのフォーマット(データ形式)にTransform(変換)してLoad(書き出し)することで確保されます。これは、異なる言語を持つ相手の話を聞き、内容を理解して、自分の言語に置き換えて記憶する仕組みと同じと考えると理解しやすくなります。この仕組みを成立させるために、システム間ではさまざまな取り決めを行っています。
システム間でデータの送受信を行う際には、プロトコルが必要となります。業務系システム間ではアプリケーション固有のプロトコルを活用できますが、クラウドサービスとのデータ連携では以下の汎用的な通信プロトコルを用います。
*HTTP(S)/FTP(SFTP)/E-Mail/MOM/SOAP/JDBC/ODBC
データを連携させるためには、事前にどのフォーマットに統合するのか定義しておく必要があります。これにより、システムAから送信されたデータは、システムB側で指定されたフォーマットでデータが転送されてきたか「解析」され、「データマッピング」のテーブル情報に従って「データ変換」が行われます。システムAからは変換の不要なデータも転送されてくるため、受け取ったデータの種類や状態によって処理を「条件分岐」して、必要な変換処理などを「繰り返し」、エラー処理や管理を行うための「例外制御」を行うルール制御機能が必要になります。
EAIは標準で上記の機能を実装しシステム間のデータ連携を確保しますが、実際のデータ連携においては複数のシステムから大量のデータを変換処理することになりますので、Extract・Transform・Loadの処理時間を大幅に短縮するETL機能を搭載するEAIを選定されることが賢明です。
システム連携は社内に分散されたデータを連携させる取り組みともなります。変換フローや「ルール制御」などの定義がノンプログラミングで実現でき、直観的な操作性に優れ、GUIベースの画面表示機能によりマッピングなどの処理が可視化されるなど、ユーザーインターフェイスに優れたデータ活用環境をご構築ください。
システム間のセキュリティ環境にも気を配る必要があります。標準に対応したデータの暗号化やファイル転送時に無駄なファイルコピーを残さないなどの仕組みによりITシステムの統制を強化。と同時に、データ変換と同時に設計書を構築し、プログラムの保守性を高めるなどの機能を持つEAIを導入して業務処理の統制も図り、健全かつ適正なIT統制を実現してください。
導入するEAIが自社のデータ量やトランザクションに対応する処理能力を有するかを確認し、将来的な情報資源の拡張性を見込んだ上で、24時間365日稼働する高可用性とハードウェア障害とソフトウェア障害の両方に対する耐障害性を兼ね備えたEAIをご選定ください。
実際のシステム連携では、レガシーなメインフレームに代表される既存のオンプレミスシステムとオープンなクラウドサービスとの連携がネックとなっています。データ連携のインターフェースをテンプレート化したEAIをご選定いただければ、オンプレミスとクラウド双方のデータを連携して企業の情報分析・意思決定レベルを高めることが可能です。
企業内でサイロ化され個別最適に陥っていたシステムは、戦略的に統合・連携され全体最適化されることにより、的確な情報分析と迅速な意思決定を促す情報資産へと生まれ変わります。進化を志向するデータ・インテグレーションは、これまで気づかなかった新たなイノベーションをも牽引します。
皆さまの企業が最適なシステム連携体制を確立し、スピーディかつビジネス変化に強い戦略的情報システムをご構築されることを願います。
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