Case Study導入事例

ホーチキ株式会社ホーチキ株式会社(電気機器)導入事例

社内外のデータ連携ニーズに対応しACMS Apex・RACCOONを導入
ノートラブルで運用し負荷軽減を実現

  • 課題
    社内外システム連携が拡大する中で、セキュリティ強化が必要
    個別に存在する複数の業務システム全体の統制が困難
  • 評価
    ACMS Apexへの統合でセキュリティレベルが向上し、連携統制も強化
    システム間データ連携の標準化により開発運用の負荷を軽減し、管理水準向上

テクノロジーで火災リスクを低減し社会の安全安心を支える防災企業

ホーチキは1918(大正7)年、火災報知機を日本で最初に設置した防災機器メーカーである。複数の損害保険会社の出資により設立し、以後一世紀以上にわたり「防災を通じて社会に貢献する」という使命のもと成長してきた。長年の実績に裏打ちされた高い信頼性と品質、豊富な納入実績、顧客ニーズに応じた柔軟な提案力などが競争優位の源泉である。「人命と財産を守り社会に貢献する」という理念を掲げ、火災の早期検知と被害最小化を実現するための製品とサービスの提供を追求している。

主力事業は自動火災報知設備や煙・熱感知器などの各種センサーといった防災システム。研究開発・製造・販売・施工・保守まで含めたトータルソリューションで提供している。オフィスビル、商業施設、工場、公共インフラなど多様な現場に導入されており、保守・リニューアルまで担う長期的な顧客関係を構築している点も大きな特徴である。さらに、防災事業で培ったノウハウをセキュリティ分野へと展開し、事業領域のすそ野を広げている。

近年はIoTやネットワーク技術の進展を背景に、導入設備の遠隔監視など新事業領域の開拓を進めている。海外市場においても事業を展開しており、グローバルな事業基盤の強化を進めている。

業務システム間データ連携での複数の課題を認識

同社では基幹システムであるERPのSAP S/4HANAをはじめ、個別に存在する複数の業務システムを運用しているが、それまでのシステム間データ連携は、1対1接続の方式でそのつど個別開発・運用を行っていた。しかし、この手法にはいくつもの課題があることを同社では認識していた。

システム間の接続には一定のリードタイムを要する。接続対象となるシステムの仕様確認に加え、接続方法の検討や関係者間での合意、設計、開発、テストといった工程を順に進める必要があり、実現までに半年から1年程度を要するケースも少なくなかった。

次に、リスクの増大である。
システムを接続することは、対象システムにアクセス可能なルートを新たに設けることを意味する。このアクセスルートは、設計や運用を誤った場合、外部からの不正侵入経路となる可能性を持つ。
特に1対1接続の方式では、接続要望の多いシステムほど複数のアクセスルートを保持することになり、その結果、セキュリティ上の潜在的なリスクが高まる傾向にあった。

さらに、将来的に改修が困難なレガシーコード化が進むリスクに加え、システム構成の把握漏れによるインシデント発生リスクも内包する。その結果、システム全体を俯瞰した管理が難しくなり、内部統制を十分に機能させることが困難となる。

また、システム主管部門間での調整負荷を増加させ、DX推進に影響を及ぼす要因ともなっていた。この点について、ホーチキ株式会社 システム戦略推進部 担当係長の三本孝明氏は、次のように語る。

「個別のデータ形式や接続方式をその都度検討する必要があり、部門間で作業分担や工数調整に多くの時間を要する場面がありました。こうした調整に時間を取られることで、本来注力すべきDX推進の取り組みをスムーズに進めにくい状況でした。そこで、接続方法やデータ形式に関わる部分をシステム戦略推進部で担うことができれば、DX推進のスピードにも対応できるのではないかと考えました。」

これからのビジネスは社内のみならず、より外部サービスとのシステム間データ連携も増えていくと予想していた。SaaSなどでは個別の調整が難しいケースも多く、柔軟に対応できない場合には選択肢が限られ、結果としてDX推進を継続することが難しくなる状況も考えられる。
そこで、システム仕様や連携方式の違いに引きずられることなく検討を前に進めるため、システム間でハブの役割を果たすプラットフォームを持つことが重要であると同社は考えた。

システム間データ連携プラットフォーム構築を内製で実現することを検討

同社はこのプラットフォーム構築を外部の力を借りずにシステム戦略推進部で行うことを決定した。同社の内製志向は、2012年に切り替えたSuite on HANAから2019年にSAP S/4HANAを導入したころから一層強くなった。三本氏は振り返る。

「外部に依頼すると、どうしても対応までに時間がかかります。例えば、小規模な項目追加であっても、外部に依頼する場合は契約手続きから設計、開発、テスト、リリース対応まで複数の工程が発生し、結果として完了までに長期間を要するケースが少なくありません。
一方、社内で対応できるようになってからは、短期間で開発を行い、『今後はこうなります』といった変更内容を速やかに社内に共有できるようになりました。その結果、全体として改善効果を比較的早い段階で確認できています。
加えて、こうした取り組みを担える人材が増えてきたこともあり、迅速な対応を重視しながら、自部門で対応できる範囲を徐々に広げてきたという背景があります。」
システム戦略推進部では、認識している課題を踏まえ、次の4つの観点を解決に向けた要件として整理した。

・システム間データ連携を迅速に実現し、業務上の成果を早期に創出すること
・セキュリティに最大限配慮した形で連携を実現すること
・内部統制が機能する、統制された運用体制を構築すること
・開発・運用をシステム戦略推進部主導で担える仕組みとすること

RACCOONの機能を高く評価してACMS Apexを選択

前述の課題を解決するため、どのようなプラットフォームを構築するかが検討課題となった。
システム戦略推進部では複数の候補製品を挙げて比較検討を行い、その結果、データ・アプリケーションが提供するエンタープライズ・データ連携プラットフォーム ACMS Apexを選定した。
選定にあたって重視した点は、本製品にデータ ハンドリングプラットフォーム RACCOONが備わっていることである。ETLやトランスレータの機能を有しており、多様なデータフォーマットへの変換が容易である点に加え、ACMS Apexから一括して制御・管理できるため、インテグレーションに伴う追加コストを抑えつつ、単一のシステムとして統合管理が可能であった。

「これからシステム間データ連携が拡大していく中で、データの変換や加工は避けて通れない要件だと考えました。社内システム同士の連携では、RACCOONの機能が必ずしも必要になる場面ばかりではないかもしれませんが、将来的な拡張や外部連携まで視野に入れると、あらかじめ備えておくべき機能だと判断しました。EAI領域をカバーする製品はいくつかありますが、データ変換・加工まで含めて一つのパッケージで対応できる点は、選定の決め手の一つでした。」

また、RACCOONは直感的に操作できるUIを備えており、開発時の負担を軽減した。複雑になりがちなデータ変換・加工処理を視覚的に構築できるため、専門的なプログラミング知識への依存を抑えつつ、柔軟なシステム構築が可能となった。加えて、設定変更や機能追加にも迅速に対応でき、開発から運用までを通じた作業効率の向上につながっている。これらの点が、内製化の推進や生産性向上を後押しし、DXの取り組みを進める上での基盤強化に寄与した。
ACMS Apexはエンタープライズ向けのデータ連携プラットフォームとして評価や実績を有しており、同社が直面していた課題に対しても適合していたという。三本氏は、「私たちが直面している課題に対して、1製品で解決できる点が基盤構築として重要であると考えました。」と振り返る。

ACMS Apex、多様な連携方法で社内外のシステム間データ連携を一つのプラットフォームで実現できるのに加えて、厳格なセキュリティ機能も有しており、ACMS Apexで扱うファイルは暗号化された状態で保管され、閲覧権限のある運用者のみが参照可能であるため、情報漏えいを防ぐことができる。

また、ジョブやタスク、ログの可視化、証跡管理、エラー管理、データ完全性の担保が行えるため、システム間データ連携における内部統制の実効性向上を図れる。

さらに、上記でも述べたとおり、優れたUIにより内製での開発・保守の生産性向上が期待できた。特に、変換定義を作成するRACCOONのGUIツールは直感的な操作が可能で、短期間でマスターすることが可能だった。その結果、システム戦略推進部が主導する形で、スピーディーなシステム間データ連携が実現できると判断されたのである。

補足:ACMS Apexはクレジットカード業界で採用されている高度なセキュリティ基準であるPCI DSSにもソフトウェアとして準拠

「使い方」を把握するPoCを経て段階的な要件実装によるプロジェクト推進

製品を業務の中で確実に活用していくためには、事前に十分な検証を行うプロセスが重要である。そこで、2023年度の年度末3カ月の期間を、データ・アプリケーション社と共にPoC期間を設け、ACMS ApexとRACCOONで、どのようにデータ変換とシステム間データ連携が実現できるか機能確認とフィジビリティ検証を行った。三本氏によると、このプロセスは非常に有意義だったという。
IT製品の導入にあたっては、事前に製品特性や運用イメージを十分に理解しておくことが重要である。
本PoCを通じて、ACMS ApexおよびRACCOONのシステム概念や機能理解を深めることができ、導入後の活用を見据えた検証を行うことができた。

PoCプロセスで確証を得たシステム戦略推進部は、正式に導入を決め、2024年度の年初から半年間の期間を設け第1フェーズのプロジェクトを実施。これは、既存I/Fである社外2システムとSAP S/4HANAとの連携で、ACMS Apex導入に合わせて接続の標準化を行った。相手先システムとの接続ロジックの変更を伴う内容であったにもかかわらず、方式設計から接続方式の切り替えまでを半年以内で完了させた。

2025年度の年初から半年の期間を設け、第2フェーズのプロジェクトとして、新規に構築された社外システムとのI/F窓口をACMS Apexに集約しRACCOONによる変換機能を活用し、データ連携を実現した。これにより、システム戦略推進部が目指すシステム間データ連携プラットフォームの基盤が整った。

社外システム間データ連携では運用トラブルがほぼゼロに

PoCプロセスから数えると、導入から3年が経つ。システム間データ連携プラットフォームが中核にある効用について、三本氏は次のように話す。

「大きな効果を実感しているのは、既存I/Fを差し替えた社外2システムとの連携です。実はこれまで、この接続は順調とはいえず、システム障害が発生した際のリカバリにおいて先方との調整や対応に時間を取られていました。切り替え後は、方式の標準化と運用ルールの見直しにより、障害発生時にもデータ出力を停止することなく対応できるようになり、ケースごとの個別対応が不要となりました。システム障害のケース管理でいうと、最大で3日かかっていたリカバリにかかる調整や作業時間がゼロに近くなっています。その分、より本業に近い仕事に集中できます。先方においても、切り替えを機に既存の煩雑な手順によるデータ連携が簡略化され、障害発生時の対応がシンプルになったことで、運用負荷が軽減された点が評価されています。」

ホーチキ株式会社 システム戦略推進部 部長 佐藤 菜穂子氏は、三本氏を補足してこのように語る。

「以前は、リカバリ対応の調整において、『ファイルを置いた』『置いていない』といった状況確認のやり取りを電話で繰り返す必要がありました。自社内で連携しているものならまだしも、他社様が運用しているシステムと当社のシステムとなると連携の責任分解点の判断が難しく、問題がこじれがちでした。それが今はほとんどトラブルなく、あったとしても状況が一目瞭然なので対処が容易です。
これはまた、当社としても運用負荷の軽減にもなります。第2フェーズのプロジェクトである社内システムについても運用が軌道に乗ってきました。システムの安定稼働による当部メンバーの稼働負荷軽減というのが私の最大の命題ですから、これからシステム間データ連携がますます増えていく中で、プラットフォームを導入するという判断は本当に正しかったと考えています。」

ACMS Apexで内製開発することによって、ビジネス変革のスピードは向上し、セキュリティも確保した運用や内部統制の為の基盤構築ができたが、DX推進に関しては「事を始めたばかり、本番はこれから」とシステム戦略推進部の改革の範囲は広い。

今後、将来的に複数接続が予想できる社内システムは、「できる限りACMS Apexに接続し連携したい。」と三本氏。社外システムとの連携についても、第3フェーズ、第4フェーズのプロジェクトや計画が立ち上がっており、現在、対象となるユーザーの要望を十分に汲みたいと時間をかけて要件定義が行われている。

ホーチキは、社内外システムを、早く、セキュアに、また秩序ある形で連携する中核プラットフォームとして、ACMS Apexを選択した。

※「SAP」は、ドイツおよびその他の国における SAP SE(または SAP の関連会社)の商標または登録商標です。

システム構成図

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