流通BMS(※1)とは、消費財流通業界関連団体と経済産業省が通信方式やメッセージ種類、データ項目の意味、使用するコードなどの標準化(流通システム標準化事業)を行い、2007年4月に公開した流通業界の新しいEDI方式です。現在は流通BMS基本形2.1(※2)が利用されています。
これにより、広く使われていたEDI(J手順:JCA手順)のさまざまな課題や問題点、「通信速度が遅い」「漢字が使えない」「フォーマットが不統一」などが解決され、すでに多くの企業に広く利用(※3)されています。
また、2024年1月よりNTT東西の固定電話がIP網に移行されることにより、JCA手順の利用が難しくなることから、その普及はさらに加速しています。
※1 BMS: Business Message Standards「流通ビジネスメッセージ標準」および「流通BMS」は、一般財団法人流通システム開発センターの登録商標です。
※2 流通BMS基本形2.1では、インボイス制度対応(「適格請求書発行事業者登録番号」「譲渡年月」の追加)が実施され、仕入税額控除に必要な区分記載請求書等保存方式への対応(「税区分」「税率」の追加)は、流通BMS基本形2.0にて実施されています。
※3 流通BMS導入企業数および導入企業名は、以下をご参照ください。
https://www.dsri.jp/ryutsu-bms/info/info06.html
冒頭で、これまでのEDIには「通信速度が遅い」「漢字が使えない」「フォーマットが不統一」などさまざまな課題や問題点があることをお伝えしました。
これらに対して、流通BMSではインターネットを使い高速通信(電話線利用時の4万倍程度の速度)が可能となります。また、データの表現形式はXMLで、あらゆるタイプのデータ(漢字・画像・音声・動画など)を扱うことができ、メッセージも業界で標準化されているため、これまで不都合だった部分の多くが解消されました。
あわせて、これまで小売ごとにばらばらであった伝票レス、検品レス、請求レスの方式も統一され、小売にとっても、卸・メーカーにとっては非常に効率化が進められるようになりました。
今後はインボイス(適格請求書等保存方式)に対応した新たなメッセージがリリースされる予定です。
流通BMSに基づくEDIシステムを構築する際には、以上の4ポイントを考慮しシステム化することが重要です。
流通BMSは、インターネットを使うことから、セキュリティへの考慮が重要となります。
流通BMSでの規定はありませんが、社内ポリシーにあわせた対策が求められます。データを受け渡しする上で、傍受、改ざん、成りすましを防止するための認証や暗号化がこれにあたります。
これらを実現するための電子証明書については、以下の流通BMS協議会の認証サービスとして掲載(※3)されている認証局が発行する電子証明書を通信ソフトウェアに導入する必要があります。
※3 流通BMS標準仕様
URL: https://www.dsri.jp/ryutsu-bms/standard/standard04.html
流通BMSでは、インターネットをベースとした以下の3つの通信プロトコルが規定されています。取引先と協議の上、データ交換量や取引形態などを考慮し利用するプロトコルを決定します。そしてそのプロトコルに対応したEDI製品を導入します。
流通BMSのメッセージの表現形式には、XMLを利用します。各メッセージのフォーマットは、メッセージ種やバージョン毎にXMLスキーマ(構造定義言語)で定義されます。また、アプリケーションがXMLを扱えない場合は、フォーマット変換機能の導入で社内フォーマットに変換し、データ連携を容易にします。
さらに!!忘れてはいけない4ポイント!
流通BMSに対応するためのEDIシステムでは、次のデータ処理を一連のジョブとして実行・管理できる必要があります。
これらを実現するには、以下の機能を備えたEDI製品を導入する必要があり、導入することで運用が非常に容易になります。
取引先とのデータ量や取引形態、さらには業務システムとの連携にあわせてシステム構成を決めます。JX手順クライアントの場合はPCが、その他の手順の場合はサーバが必要です。サーバの場合は、セキュリティを考慮した管理サーバと通信サーバの分散、データ量を考慮した負荷分散、障害時対応のための二重化などの対策が必要です。
流通BMSの導入方法としては、大きく分けて「自社導入」と「サービス利用」の2種類があります。
(1)サーバ型
(2)クライアント型
(1)自社専用型
(2)汎用型
ACMSシリーズは、「流通BMS」に対応したソフトウェアです。
企業間取引や社内業務のデータおよびアプリケーションをシームレスに連携し、高い信頼性と可用性から、すでに2400社※1を超える企業で導入されています。
※1 2020年3月時点でのサーバ製品の導入実績です。
システム老朽化を契機にACMSで流通BMS対応
2ヶ月足らずの短期移行で軽減税率対策補助金獲得にも成功
物流センター刷新を契機にめざした受発注業務の効率化
成城石井が選んだ流通BMS対応EDIで活躍するのは ACMS E2X
流通BMS共同実証への参画でACMS B2B LEを導入
さらなる業務効率向上をめざして、EDIインフラを ACMS E2Xに集約
EDIシステムの刷新で流通BMSへ対応
システムの安定稼働を実現し、運用管理負荷を軽減
基幹EDIインフラをAS/400からAWSへ
ACMS Apex、RACCOONが短期開発に貢献
流通BMSの事例も含め、ACMSシリーズの導入事例は、こちらからご参照ください。
※ PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)
クレジットカード業界のセキュリティ標準でクレジットカード会員情報を安全に取り扱うことを目的として策定され、企業の業務システムでも広く採用されています。
流通BMSについて、お客様からよく寄せられるご質問とその答えを公開しています。ぜひ参考にしてください。