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これからの企業の競争力の伴を握ると言われているデータ・インテグレーション。この領域で優れたソリューションを提供しているデータ・アプリケーションの技術本部を率いる岩下が、データ・インテグレーションの可能性について語る。

Profile

岩下 誠

株式会社データ・アプリケーション
取締役執行役員 技術本部長

1995年、データ・アプリケーション入社。これまで、EDIシステム(集配信システム)開発やトランスレータ開発、ERP連携システム開発などをプロジェクトマネージャーとして率い、品質管理部門、カスタマーサービス部門の立ち上げを担った後、2020年に技術本部の本部長に就任。当社製品の開発・保守を統括している。

※所属、掲載内容は取材当時のものです

Theme 01

なぜ、日本企業のデータ・インテグレーションは遅れているのか

社会を挙げてDXが推進されるなか、いま注目されているのが“データ・インテグレーション”です。データ・インテグレーションとは、異なるデータソースからデータを統合し、分析や利活用に適した形に変換するプロセスのこと。昨今、企業においてデータドリブンな経営の重要性が叫ばれていますが、必要な情報は基幹系・情報系などの社内の各システムに分散し、異なるデータフォーマットで格納されているため、そのままでは活用できない状態であることが多々あります。企業内で日々蓄積される膨大なデータを有効に活用するためには、さまざまなデータソースを横断的に統合するデータ・インテグレーションが不可欠です。しかし、日本企業におけるデータ・インテグレーションはまだまだ遅れています。その理由はいくつかあります。

まず、いっそう多様化するシステムをデータ連携させるためのスキルやツールが不足していること。たとえば、クラウドやIoTなどの新しいデータソースを統合するためには、APIやストリーミングなどの技術を担える人材やソフトウェアが必要です。また、データを抽出・変換・格納するETL(Extract Transform Load)プロセスは、手作業で行うと複雑で煩雑であり、エラーが発生しやすくなるというリスクも抱えています。加えて、データ・インテグレーションの実行や運用にかかるコストが高く、また時間も要するため、二の足を踏んでいる企業も見受けられます。こうした要因から、多くの企業がデータ・インテグレーションの必要性は認識しているものの、なかなか実現にまで至っていないのが実情です。

Theme 02

容易かつ効率的にデータ連携基盤を構築する方法が求められている

いま、企業のDX化に欠かせないデータ・インテグレーションを阻む壁をクリアし、より効率的に実現しようとする動きが起こっています。業界全体で高スキルのIT技術者が不足していることもあり、データ・インテグレーションの仕組みを一から開発するのではなく、ツールを導入してデータ統合を図るのが主流になりつつあります。その際に要求されるのは、データの品質と信頼性を保証すること。いろいろなデータを寄せ集めても、それが正しく活用できるデータになっていなければ意味はありません。データを細かい単位ごとにきちんと意味を持たせ、同じ意味を持っているデータを簡単に紐づけられるようなツールも求められています。また、データを統合するにあたって、セキュリティやコンプライアンスが保たれる仕組みでなければならないことは言うまでもありません。

こうした機能を備えたツールによって、データ・インテグレーションを実現する基盤を容易に構築する取り組みが、これからますます活発になっていくでしょう。このデータ・インテグレーション基盤が整うことで、データ管理・運用のコストや負荷を削減できるとともに、有効なデータ分析によって企業の意思決定のスピードが増し、データドリブンな組織文化の醸成やイノベーションの促進にもつながります。さまざまな業界や業種において、データ・インテグレーション基盤が事業の競争力や付加価値を高める重要な要素となることは間違いありません。

Theme 03

データ・インテグレーションは、これから社会全体のインフラを担っていく

現在、データ・インテグレーション基盤は、企業内で閉じたビジネスデータを統合し利活用されている状況ですが、その枠を超えて世の中にあるオープンデータを扱うことで、社会に大きな価値をもたらす可能性を秘めています。たとえば気象情報や交通情報を集約・分析する基盤を構築できれば、気候変動対策や物流効率化などの社会課題の解決にも貢献できます。また、教育や医療へのアクセスを改善するためのデータ分析基盤としての活用も進んでいます。政府もいまデジタル化社会の実現に向けて注力しており、デジタル庁が策定したデータ戦略では、行政機関が国全体の最大のプラットフォームとなるべく、データ連携を可能とするシステム構築に取り組んでいます。たとえば、マイナンバー制度もそのひとつであり、優れたデータ・インテグレーション基盤が人々の暮らしを、より便利に、より豊かにしていくのです。ゆくゆくは、企業単位ではなく、業界全体で社会課題の解決と新たな価値の創造につながるデータ・インテグレーションが図られ、さらに隣接する業界同士がつながってデータ・インテグレーション基盤がよりいっそう拡大していくでしょう。そうして社会全体を支えるインフラになる未来を、私は思い描いています。

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