Case Study導入事例

ユアサ商事株式会社ユアサ商事株式会社(商社・卸)導入事例

回線環境の変化を好機と捉え、EDI基盤を刷新
ACMS Apex & RACCOONでDXも推進

  • 課題
    複数EDIソリューションの混在により、運用現場の負荷が高く、かつ属人化
    オンプレミスのためインフラ更改が必須でEDI状況の共有が困難
  • 評価
    EDIソリューションの一元対応とともに運用負荷の削減や属人化の解消も実現
    クラウドへの環境構築により、基盤管理から解放、状況共有も容易に

以前からの課題解消も目的にインターネットEDIへの移行を決断

ユアサ商事株式会社は、「モノづくり」「すまいづくり」「環境づくり」「まちづくり」に関わる商材・サービスを取り扱う複合型専門商社である。創業は1666(寛文6)年。初代湯淺庄九郎が京都に木炭商を開いたことに端を発する。時代に合わせた経営の近代化、工業化を推し進めながら、今日まで商社機能を発展させてきた。歴史の長さを反映して、取引先は約26,000社と圧倒的な数を誇る。また商品販売だけではなく、企画・開発から施行・保守サービスまでの一貫したシステムインテグレーションの提供を重視している点にも大きな特長がある。

同社では、NTT東西による固定電話からIP網への切り替え発表に伴い、ISDN回線で行ってきたEDIをインターネットEDIへ移行することを決断した。今回その相手先としたのは、EDIを行っている中でも送受信するデータ量が圧倒的に多い46社だ。既存の従来型EDIには以前より課題を感じており、今回の移行はその解消という目的もあった。

1つめの課題は、通信プロトコルによってEDIソリューションが異なっていたということだ。そのため、現場では複数の異なるソリューションの画面を見ながら運用を行う必要があった。スキルセットが複数求められることもあり、運用に属人性が生じていた。

2つめとして、データ変換・加工をメインフレームで行っていたことがある。具体的に、マスター参照やデータ分割、データ統合、特定データへのデータ挿入などを、プログラム開発によって実現していた。将来的にメインフレームのリプレースも検討しており、EDI側で簡単にデータ変換を実現できるのが理想だった。

3つめは、従来はオンプレミスでの運用だったことだ。インフラ環境を5年周期で更改する必要があり、その調査やシステム選定に工数を割かねばならなかった。また、運用の現場を担っているのは、拠点の異なるユアサシステムソリューションズ株式会社(以下、YSOL)であったため、何か知りたいことが生じたときにはYSOLに尋ねる必要があり、EDI状況の共有が困難だった。

最後の4つめは、本番環境がテスト環境を兼ねていたことだ。EDIデータが流れない時間帯に本番環境でテストを行っていたが、変更した設定を戻し忘れるといった潜在リスクがあった。新しく環境を構築する機会に、別途テスト環境を確保したい意向があった。

EDI刷新のみならずDX推進の観点からACMS ApexとRACCOONを採用

上記の課題を解決すべく、対応通信プロトコル、データ変換機能、拡張性、クラウド対応などの要件を掲げて、同社は複数の候補製品を比較検討。その結果、採用を決めたのが、ACMS Apexであり、これと合わせてデータ変換・加工を行えるRACCOONだった。ユアサ商事株式会社 情報システム部 課長補佐 遊佐 学氏は、選定理由を次のように語る。
「システム選定に先だって、ACMS ApexとRACCOONを1カ月にわたって検証しました。ACMS Apexは画面がわかりやすかったですね。EDIの状況が把握しやすいので、これなら人を選ばず運用できるのではないかと思いました。また、データの送受信では中断したり、異常終了することもありますが、ACMS Apexはリカバリー操作が容易でした。そして、処理速度ですね。複雑なデータ処理を行ったときの速度が非常に速いというのが一番の決め手となりました。ACMSシリーズの中でも、今回ACMS Apexを選んだのはDX推進の観点からです。Web API連携機能などを持っており、これならEDIのみならず、データ連携基盤の役割を果たしてくれると期待を寄せました。」

処理時間はなんと7時間から5秒に運用現場の負荷も大幅軽減

今回、システムインテグレータを務めたのは株式会社日立ソリューションズ・クリエイトだ。ACMS Apex 技術者認定資格保持ビジネス・パートナーで、最上級資格であるGold資格保持者が中心となり、AWS上への環境構築に当たって、AWS側とのやりとりをリードしながらこのプロセスを支えた。それはユアサ商事にとって、大きな安心材料だったという。日立ソリューションズ・クリエイト 営業担当 田邉 拓海氏は次のように語る。
「当社は豊富なACMS Apex導入実績、AWS構築実績を誇っており、またインフラ関連の保守・運用にも強みを持っています。今回はそのあたりをトータルで提案させていただくとともに、蓄積したスキル・ノウハウを駆使して構築を支援させていただきました。」

システム選定プロセスで要件定義が明確化していたことが功を奏し、環境構築自体は3カ月で完了。現在、対象46社のうち7社がACMS ApexでのEDIをスタートし、8社が通信テスト中だ。移行完了予定の2023年9月に向けて、一社一社歩みを進めている。通信プロトコルに関しては、46社以外の取引先とEDIを開始することになっても、もうこれ1台で対応できる。

7社の移行で得られた導入効果がいくつかがある。まずは、処理速度だ。ISDN回線からインターネットになり、また帯域が広がったため、多重同時並行での受信が可能になった。これにより、これまで約7時間要していた処理がなんと5秒で終了するようになった。これまでは受けられるデータ量に限りがあったため、取引先と時間を調整する必要があったが、もうそのような作業はまったく不要になった。

次に、クラウド環境となったことでのメリットだ。管理画面の共有が可能になった。ユアサ商事からもEDIの状況が把握可能になり、いざというとき情報が共有でき、アクションを起こしやすくなった。さらに、これをデータ連携基盤とするべく、ERPやSFAとのデータ連携も検討している。

運用最前線であるYSOLにも、よい変化が表れた。ユアサシステムソリューションズ株式会社 カスタマサポート部 データ交換チーム 中丸 侑氏は次のように語る。
「ACMS Apexになったことで見るべき管理画面が一つになり、運用負荷が軽減しました。また、属人性も解消され、データ交換チームみんなで管理に当たれるようになったことも大きいです。何より、別途テスト環境が確保できたため、受信データの状況に関わらず、今日がダメでもまた明日というスピード感で取引先との疎通テストが行えたり、運用効率化を図るためにいろいろ試行錯誤できるようになりました。」

今後、ユアサ商事では、比較的規模の小さな取引先向けに、ファイル交換ツール ACMS Web/deTrade IIの導入も検討している。ACMS Web/deTrade IIの自動送受信コマンドを利用することで、先方の運用をまったく変えることなく、さらにACMSへと環境を寄せられる。回線環境の変化を好機と捉え、ACMS Apexへの移行で、ユアサ商事はEDI環境の刷新とデータ連携基盤の整備というDXを一度に現実のものとした。

イメージ図

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