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公共・自治体向けパッケージで生じるデータ移行プロセス
RACCOON採用で属人化を解消、生産性と利益率が向上

  • 課題
    SQLに精通した熟練技術者だけが可能だったプログラムによるデータ移行
    しかもプロジェクト期間に大きな比重を占め、お客様の個別対応にも苦慮
  • 評価
    GUIを使ったデータマッピングで、若手を含む技術担当者全員がデータ移行可能に
    迅速なデータ移行により早い段階でお客様との合意が可能

既存システムからActiveCityシリーズへのデータ移行プロセスに課題

株式会社シナジーは、沖縄県を本拠地とする情報サービス事業者だ。システム構築力やインターネット技術を基軸に、システム開発からWebデザイン、クラウド関連サービス、AI・IoT・VR関連サービスまで、新しい付加価値や夢あるサービスを創造、日本全国に提供している。

同社の主力ソリューションの一つに、公共・自治体向けパッケージ製品ActiveCityシリーズがある。大きく、内部情報統合基盤システム、文書管理システム、グループウェア、CMSサービス、入札管理支援システムなどから構成される。またパッケージながらカスタマイズ性も高く、自治体の規模に関わらず、フィット感高く導入できる点も評価され、リリースから10年、すでに100を超える団体で導入されている。

新規顧客への導入は、それまで使われていた既存システムからの移行に伴って、データ移行が発生する。

このデータ移行プロセスが、ActiveCity担当技術者にとって少なからず負担となっていた。まず、既存システムに内在するかもしれないデータエラーをチェック。次はActiveCityの統合データベースの内部構造に沿って、格納していく。従来、同社ではこの作業をSQLのストアドプロシージャで行っていた。ただ、十分なスキルやナレッジがないとミスにつながるため、誰もが担当できるわけではなかった。また、お客様との細かな調整も求められ、半年なら半年、熟練技術者が導入プロジェクトの1プロセスであるデータ移行に拘束され続けるという状態になっていた。株式会社シナジー システム開発本部 與座(よざ)常弘氏は、当時を次のように振り返る。
「今まで経験がなかったこともあって、ストアドプロシージャを使ったデータ移行は難易度が高いと感じていました。どうしても途中でわからないところが出てきて、そこは先輩の手を借りることになります。」

経営トップがRACCOONを発見検証プロジェクトで確信を得て導入へ

代表取締役 下地勝也氏は、数年にわたって開発現場がこのようなジレンマを抱えていたことを憂慮。自らデータ移行ツール探索に動く。そして、見つけ出したのが、DALのデータ ハンドリング プラットフォーム RACCOONだった。このツールに大きな期待を寄せた同社は、さっそく3つのプロジェクトで効果が出せるか検証を行い、データ移行プロセスへのフィット感を見た。2020年4月のことだ。そこで感じた印象を與座氏はこう語る。
「GUI ベースのドラッグ&ドロップ操作で、データのマッピングが可能で、こんなに簡単にできるものなのかと思いました。これならストアドプロシージャの記述に熟知していない技術者でも担当できると思いました。
また、実際プログラムでデータ移行するのに比べてスピードアップが可能で、RACCOONに習熟する時間を計算に入れてもおよそ3割生産性が向上しました。」

RACCOONを適用した3つのプロジェクトは、いずれも順調に進んで予定どおり完了した。開発業務変革が可能と判断した同社は、このツールの正式採用を決定した。

全技術者がデータ移行を担えるようになり、開発原価が下がって利益率向上

それ以降、シナジーでは、すべてRACCOONでデータ移行を実施しており、その数は15案件を超える。既存システムのデータは、中間標準レイアウトを入力フォーマットとしてRACCOONでデータ移行を実施している。
この中間標準レイアウトというのは、総務省が地方公共団体の業務システムをデータ移行する際に、これを円滑に行えるよう定めたものだ。そのため、中間標準レイアウトからActiveCityのデータベースにデータを移行する際、類似したフォーマットであれば、一度作成したRACCOONの変換定義を再利用でき、工数を大幅に削減できる。

このツールが同社にもたらした効果というのはどのようなものか。株式会社シナジーシステム開発本部 奥本和樹氏は、次のように語る。
「RACCOONを導入したことで、案件を担当する技術者が開発製造からデータ移行まですべて行えるようになりました。規模の小さいものなら、一人でも可能です。そのため、開発原価が下がって利益率向上を図ることができました。この点に関してトップからも高評価をいただいています。現状、約10名のActiveCity担当チームですが、人員の増加を行わずにプロジェクト件数を増やす対応力が生まれました。
個人的には、RACCOON活用で個別対応が容易になったことも喜んでいます。公共団体や地方自治体には、それぞれ独自の慣習があります。それが『うちはこのようにデータを格納したい』といった要望につながるのですが、早く移行できるので、いち早く先方にご確認いただけるようになったことですり合わせの時間を多く捻出することができ、最終盤で『こんなはずではなかった』が発生しないのがありがたいです。」

一方、與座氏はこう語る。
「現在はGUI操作ではなく、スペックの高いLinuxマシンにデータの変換/加工を実行する変換エンジンであるRACCOONのTransfer Engineを載せ、コマンド操作でデータ移行作業を行っています。最初はGUI操作でデータ移行のイメージを持ってもらい、慣れてきたらパフォーマンスを考慮してTransfer Engineで、といった使い方ができるのがいいですね。いろいろな個別対応が誰でも簡単にできます。
ときおり協力会社に手伝ってもらうようなときも、RACCOONならすぐに習得できるので、即戦力として動いてもらえます。」

今後、同社では、ActiveCityシリーズのバージョンアップで生じるデータ移行プロジェクトにも、このツールの活用を検討している。また、ActiveCityシリーズは、財務会計など公共団体や地方自治体で利用される他システムとの連携も強化していくといい、そこでもRACCOONの登場する場面がありそうだ。

既存システムからActiveCityへのデータ移行

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