Case Study導入事例

センコー情報システム株式会社センコー情報システム株式会社(情報・通信)導入事例

情報・通信ACMS ApexPDF PDF

“止まらない物流”の実現に
データ連携基盤ACMS Apexが貢献

  • 課題
    クラウド化でEDIサービスを採用するも補完するデータ連携基盤が必要
    自社開発データ交換システムのAWS移行ではエラー調査に難航
  • 評価
    ACMS Apexを採用することで止まらないデータ連携基盤を実現
    データ連携基盤に特化した状況把握の利便性を提供

物流システムは“社会インフラ”高可用性システムの構築・運用に注力

センコー情報システム株式会社は、1977年にセンコー株式会社のコンピュータ部門として誕生し、その後独立したグループIT企業だ。以来、同社は「未来潮流を創るセンコーグループ」の中にあって、物流、商事、ライフサポート、農業、ビジネスサポートといった幅広い事業をITの側面から支えてきた。なかでも、センコーグループの祖業である物流事業に関しては、同社の実績は卓越している。あらゆる荷主形態、商品特性に応じた物流システムを構築、供給側から需要側に至るすべての工程において、ベストなシステムソリューションを提供。サプライチェーンに係る物流を担う同社は、ある意味社会インフラであるといえる。“われわれが止まると産業が止まる”との使命感を抱き、可用性の高い物流情報システム構築・運用に精力を傾けてきた。

DC老朽化を機にIT基盤をクラウド移行 データ連携基盤にACMS Apexを選択

かつて大阪府八尾市にあった大阪データセンター(以下、大阪DC)は、EDIシステムや基幹システムなどのIT基盤を集中配置した中核拠点だった。システムの冗長化はもちろんのこと、大規模災害に備え自家発電機を備えるなど万全を期してきたが、長年の運用でサーバ機器や災害対策機器に老朽化が見られるようになった。また、センコー物流倉庫施設内にサーバルームが存在するというのも大きな懸念ポイントだった。そこで、よりいっそう冗長化を高めるため、2018年、このIT基盤を可能な限りクラウドへ移行することを決断した。ここまで大規模なリフト&シフトは同社としても初めてだった。

今回、AWS上に移行されたデータ連携基盤は、図のような構成となった。すべてを自社のみで構築・運用するのではなく、外部サービスも積極的に活用しようとEDIはアウトソーシングサービスを採用。そして物流系基幹システム(倉庫管理システム、配送管理システム)とのデータ連携は費用対効果も考慮し、データ連携基盤で補うことにした。このデータ連携基盤のエンジンとして選ばれたのがACMS Apexだった。なぜセンコー情報システムは、このエンタープライズ・データ連携基盤を選んだのか。それは、データ連携における通信やデータ変換のトランザクション管理の品質と運用の利便性を確保したかったからだった。このプロジェクト以前、ある子会社が持っていた類似システムを手始めに、外部のサービスを何も使わずにクラウド移行してみた。しかし、データ交換の状況はすべてクラウドの標準管理ツールを通じて把握する必要があった。それが不便だった、と、センコー情報システム株式会社 インフラ担当部 EDI担当 担当チーフ 音光寺 顕秀 氏は語る。

「進行状況が専用画面で見られるわけでもなく、通信エラーが起こったときも、なぜそうなったかこちら側ですべて調査しなければなりません。エラーの特定に時間がかかりました。物流という業務の性質上、障害は大至急解決したいので、本番システムではちゃんと予算を確保して、専用ソフトウェアを採用しようということになりました。」

ACMS Apexを採用したのは、もともと同社がACMS E2Xユーザーで、ACMSシリーズに親近感があったことが一つある。また、この製品がBCP対策機能を搭載していたことも大きかった。今回、可用性を担保するために5台のサーバに分散させ、万一1台がトラブルでダウンしても他のサーバが補う冗長構成が望まれた。ACMS Apexならまさに可能だったし1台のサーバのように運用が行え、さらに分散されたサーバは、通信プロトコルなしにシームレスに連携が行える。そうなれば定義の取り交わしも要らなくなる。この点も先見性があると音光寺 氏に評価された部分だった。

実際、図中、管理サーバと代替/通信サーバがACMS Apexの機能によりクラスタを組んでおり、管理サーバに何かあれば、代替/通信サーバが代わりに即座に管理サーバの役割を果たす。また通信サーバとアプリケーションサーバも同様に冗長化、一方に障害が発生すれば他方に切り替わる。しかも、各サーバはAWSのアベイラビリティゾーンを分けて配置したため、より盤石な高可用システムが整備できた。

ACMS Apexにより止まらないデータ連携基盤が実現

同社のデータ連携基盤には約300社が1800フォーマットで接続しており、そうした顧客企業と歩調を合わせながらのクラウドへの移行は、2019年から4年間をかけて順次行われた。時間をかけた背景には、NTTのINSネットのディジタル通信モードのサービス終了に伴う回線切り替えを同時並行で進めたこともあった。

音光寺 氏がこのプロジェクトで達成感を感じたときが二度あるという。それは可用性の高い分散構成が完成したときと、既存顧客企業との通信環境を新システムへ移しきったときだ。特に可用性強化の効果は、運用の中で実感された。2020年代に入って企業のAWS利用が加速、環境増築が追いつかなかったのか、このインフラが不安定になることがあった。事実、Amazon EC2がダウンしたことがあったのだが、想定どおりにフェールオーバーを行えて、すばやくリカバリできたのだ。

「これはいけるなと思いました。それ以来、ちょっとでもおかしいと思ったら、そのサーバを切り離してもう片方を動かすというオペレーションはすっかり手順の中に入っており、そのおかげでシステムは安定稼働を続けています。」(音光寺 氏)

センコー情報システム株式会社 インフラ担当部 部長 小林 利幸 氏も、音光寺 氏の言葉を裏づける。

「EDIとデータ連携システム関連のインシデントはクラウド移行以前より大幅に減らす事ができました。物流業務全体の心臓部なので、何か起こると物流現場のスタッフは文字通り動けなくなります。各物流拠点からの問い合わせ電話が次々かかる一方で、調査して一刻も早く復旧しなくてはいけない。担当者はきつい思いをしました。それが解消し、彼らの精神衛生的にもよい効果を生んでいます。

そして何より、お客様からの信用を確かなものにするためにもデータ連携基盤の安定は重要です。時間と予算をかけてこれだけのものを作り上げたというところは自信を持っているので、そこはぜひアピールしていきたいと考えています。」

荷主向けの簡易データ交換サービスや社内システム連携にも採用

EDIの仕組みを自前で構築・運用するのは負担が大きいという企業も少なくない。同社では、簡易的なデータ交換を希望する企業に対して、Excel形式でデータ交換が可能な「クラウドSPEC」を提供している。現在このWeb-EDIサービスのリニューアルを進行中で、ここにもACMS Apexが採用される。ACMS Apexが持つWeb API連携機能を活用することで、簡単でありつつもデータ交換が自動化されるという進化を遂げる。新サービスのリリース予定は2024年4月だ。また、リアルタイム性を求められるお客様も増えていることから社内システム連携の仕組みとしてもWeb APIはいよいよ現実味を増しここでもACMS Apexの活用を予定されている。

同社の止まらないデータ連携基盤を、より便利になるWebサービスを、力強く支えているのはACMS Apexだ。

ACMS Apexで”止まらない”データ連携基盤を実現

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