データ活用・データ連携のお役立ちコラム
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モダナイゼーションサービスという言葉をご存じでしょうか。システム環境をモダナイゼーションするプロセスをサービスとして提供することを指します。そもそもモダナイゼーションとはどのような概念でしょうか。このコラムでは、モダナイゼーションサービスの詳細と、これによりIT最適化を実現するメリットを紹介します。
モダナイゼーションサービスとは、既存のシステムやアプリケーションを最新の技術やアーキテクチャに移行・更新することをサービスとして提供することを意味しています。これを行うことにより、システムの拡張性やパフォーマンス向上、セキュリティ強化、運用コスト削減を実現することが可能です。つまり、モダナイゼーションサービスの目的とは、レガシーシステムの制約を解消し、ビジネスの俊敏性を高めることです。これはDXを実践する上でも重要です。DXでは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを革新し、競争力を向上させることを考えますが、システムを最新化することはDXの一環と考えることができます。たとえば、モダナイゼーションによりクラウド移行やマイクロサービスアーキテクチャの導入を行えば、それはまさしくDXの推進です。
システムはレガシー化すると、運用コストの増加やセキュリティリスクの増大を引き起こす可能性があります。モダナイゼーションで最新の技術を導入することで、上記で触れたようにシステムのパフォーマンス向上、セキュリティ強化、運用効率の向上が図れるだけでなく、システムのスケーラビリティと柔軟性が向上し、ビジネスの俊敏性が高まります。具体的な成功例として、Netflixの事例があります。Netflixは、従来のデータセンターからクラウドへの移行を行い、マイクロサービスアーキテクチャを採用しました。これにより、サービスの可用性とスケーラビリティが大幅に向上しました。また、ユーザーエクスペリエンスの向上と新機能の迅速な提供が可能となっています。さらに、クラウドベースのインフラにより、運用コストの削減とグローバルなサービス展開も実現されています。つまり、迅速な市場対応力を獲得するとともに、顧客体験の向上や新たなビジネスチャンスを創出できるチャンスも生まれます。
出典 https://about.netflix.com/ja/news/completing-the-netflix-cloud-migration
モダナイゼーションサービスを提供するにせよ、利用するにせよ、その際にぜひ実現したいポイントを以下に挙げました。
旧システムとのデータ整合性
新旧システム間でデータの一貫性を確保し、移行時のデータ損失を防ぐことが重要です。データの整合性を保つことで、業務の中断を最小限に抑え、スムーズな移行を実現できます。
パフォーマンス向上
システムの速度と効率を最大化し、ユーザ体験を向上させることが求められます。最新の技術を導入することで、処理速度の向上や応答時間の短縮が可能です。
スケーラビリティの確保
競争力強化の観点からも、ビジネスの成長に対応できる柔軟なシステムを構築することが重要です。システムの拡張性を確保して、需要の変動に応じてリソースを動的に調整できるようにします。
セキュリティ強化
最新のセキュリティ対策を導入し、システムを脅威から保護しなければなりません。また、脆弱性の修正やセキュリティパッチの適用も迅速に行うようにします。
コスト削減
運用コストを最適化し、効率的なリソース管理を実現することも重要です。クラウドサービスの活用や自動化の導入なども検討して、コスト削減を図ります。
保守性の向上
システムのメンテナンスを容易にし、長期的な運用を支援することが重要です。モジュール化や標準化を進めることで、保守作業の効率化と迅速な対応が可能になります。
モダナイゼーションサービスの内容は、提供する企業によってさまざまですが、基本的なメニューとしては次のようなものがあります。
既存システムの現状分析
現行システムの性能、セキュリティ、運用状況を評価し、改善点を特定します。
最適な移行方法の提案
ビジネス要件に基づき、最適な移行戦略と技術を提案します。
システムおよびデータ移行支援
データの整合性を保ちながら、安全かつ効率的にシステムを移行します。
移行後の継続的なサポート
移行後のシステム運用を支援し、問題解決や最適化を行います。
モダナイゼーションにはさまざまな手法があり、必ずしもクラウド移行を意味しているわけではありません。しかし、モダナイゼーションとクラウド移行は高い相関関係があります。モダナイゼーションは、既存のシステムやアプリケーションを最新の技術に更新するプロセスですから、移行先として進化の速いクラウドを選ぶことは理にかなっています。クラウド移行することにより、システムの柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率が高めやすくなり、ビジネスの俊敏性が高まります。たとえば、トヨタ自動車は、製造ラインのデータをクラウドでリアルタイムに収集、生産プロセスの最適化を図っています。また、クラウド上でのビッグデータ解析により、部品の供給チェーンを効率化しています。
モダナイゼーションとクラウド移行を組み合わせることで、企業は競争力を高める取り組みに挑戦することができます。
モダナイゼーションに取り組むことにはさまざまなメリットがあります。
DXが推進できる
モダナイゼーションにより、最新のデジタル技術を導入し、ビジネスプロセスやモデルを革新することで、DXが推進できます。
業務効率化が図れる
手動プロセスの自動化やシステムの最適化が可能となり、業務の効率化が図れます。これにより、従業員の生産性が向上し、リソースの有効活用が実現できます。
業務環境の変化に対応できる
システムの柔軟性とスケーラビリティが向上し、急速に変化する事業環境に迅速に対応できるようになります。
コスト削減が図れる
最新の技術を導入することで、運用コストの削減が可能となります。たとえば、クラウド移行により、インフラの維持管理コストを減らし、リソースの効率的な利用が可能になります。
API連携とは、異なるアプリケーションやサービスがAPIを通じてデータや機能を共有し、相互に通信することです。これにより、システム間のデータ交換が自動化され、業務効率が向上します。
また、API統合サービスとは、複数のアプリケーションやサービスがAPIを通じて相互に通信し、データや機能を共有できるようにするためのサービスです。これにより、異なるシステム間でのデータの自動交換や連携が可能となり、業務効率の向上やデータの一貫性が確保されます。
モダナイゼーションにおいて、API連携は重要な役割を果たします。既存のレガシーシステムを最新の技術に更新する際、API連携を実現することで、新しいサービスやアプリケーションの追加が容易になり、ビジネスの柔軟性が向上します。
モダナイゼーションに取り組まず、レガシーシステムを使い続けることにはさまざまな課題があります。代表的なものを挙げるだけでも以下のようなものがあります。
運用コストの増加
レガシーシステムには、部品の在庫がなくなったり、保守契約が打ち切られるなどといったリスクがあります。また、運用担当者も見つけにくくなり、維持管理するのに一般的なシステムに比べてコストがかかります。
セキュリティリスクの増大
最新のセキュリティ対策が適用しにくいため、脆弱性が高まります。
パフォーマンスの低下
古いテクノロジーに依存しているため、システム仕様やパフォーマンスに制限があります。
スケーラビリティの欠如
古いシステムは、事業環境の変化に合わせた柔軟なシステム改修が困難です。
データのサイロ化
異なるシステム間でシステム連携が難しく、データがサイロ化する傾向があります。
イノベーションの阻害
新しい技術やサービスの導入が難しいため、市場での競争力が低下します。
モダナイゼーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)は、どちらも企業の技術革新を目指す取り組みですが、焦点と範囲が異なります。モダナイゼーションは、既存のシステムやアプリケーションを最新の技術に更新することに重点を置きます。これにより、システムのパフォーマンス向上、セキュリティ強化、運用コスト削減が実現されます。一方、DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを根本的に変革し、新たな価値を創出することをめざします。
モダナイゼーションとマイグレーションは異なる概念ですが、密接に関連しています。モダナイゼーションは、既存のシステムやアプリケーションを最新の技術に更新し、パフォーマンス向上やセキュリティ強化を図るプロセスです。これは、マイグレーションを含む広範な取り組みであり、システムの再構築や最適化も含まれます。一方、マイグレーションは、システムやデータを新しい環境に移行することを指します。たとえば、システム化環境をオンプレミスからクラウドへ移すことはマイグレーションです。
モダナイゼーションに関わる課題解決のパートナーをお探しなら、データ・アプリケーションをご検討ください。企業のイノベーションをエンタープライズ・データ連携プラットフォームACMS Apexを活用することで、既存システムのデータ連携をスムーズに行い、業務効率化とコスト削減を実現します。AI-OCRを利用した紙文書のデジタル化や、Web APIを使った外部アプリケーションとの連携も可能で、企業のDX推進を強力にサポートします。データ・アプリケーションのソリューションとともに、モダナイゼーションを進め、企業の競争力をさらに強化し、未来への一歩を踏み出しましょう。
いかがだったでしょうか。このコラムでは、モダナイゼーションサービスの全貌やモダナイゼーションを進めることのメリットを、DX推進との関係も含めながらお伝えしてきました。レガシーシステムが今も使い続けられているのには、何かしら理由があるものですが、上でも見たように、この先も使い続けることは未来への課題の先送りでしかありません。この機会に、ぜひモダナイゼーションをご検討ください。