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OCRとは?メリットや活用事例を紹介!

最終更新日:2024/12/18 OCRとは?メリットや活用事例を紹介!

日常業務の効率化に役立つとして注目されている技術にOCRがあります。そもそもOCRとはどのような技術で、どのように業務効率化に貢献するのでしょうか。この記事では、OCRの概要と活用するメリット、活用事例をご紹介します。

INDEX

  1. OCRとは?
  2. OCRを活用する5つのメリット
  3. OCRはなぜ利用すべき?
  4. これからの「AI OCR」
  5. OCRの活用事例
  6. まとめ

OCRとは?

OCRとは、Optical Character Recognitionの略称で、画像やスキャンされた文書から文字を読み取り、デジタルテキストに変換する技術です。日本語では光学文字認識と呼ばれています。従来、紙に書かれた文字をデータとして利用するためには、人間が読み取ってコンピュータに入力する必要がありました。これはデータ入力と呼ばれ、大変効率が悪く、時間のかかる作業でした。また、人間にとって単調な作業でもありました。これを人間の手から引き取り、代行してくれるのがのOCRです。この技術を用いることにより、紙の文書や画像内のテキストをコンピュータで編集・検索・保存・表示できるようになります。すでにOCRは多くの分野で利用されています。たとえば、手書きのアンケートやフォーム上のデータを自動的にデジタル化したり、交通監視システムでは、車両のナンバープレートを読み取ります。紙の書籍をデジタルテキストに変換して、全文検索が可能な状態にすることもできます。

OCRが文字認識する流れ

OCRによる文字認識は、以下のような流れで行われます。

1.スキャリング

OCRプロセスの最初のステップで、スキャナーやカメラを使用して物理的な文書や画像をデジタル形式に変換します。これにより、後続の解析や認識が可能になります。

2.レイアウト解析

文書内のテキストブロック、段落、画像、表などの構造を特定し、各要素の位置と関係を解析します。このステップを踏むことで、文書全体の構造を理解し、正確な文字認識が可能になります。

3.認識第1ステップ -行の切り出し-

文書内のテキスト行を個別に抽出する作業です。各行の文字認識が効率的に行えるようになります。

4.認識第2ステップ -文字の切り出し-

各行から個々の文字を抽出していきます。これによって文字ごとの認識を行う準備が整います。

5.認識第3ステップ -文字認識-

抽出された個々の文字をデジタル文字に変換する作業です。これには、パターン認識や機械学習アルゴリズムが使用されます。

6.フォーマット出力

認識された文字データを指定された形式(例:テキストファイル、PDF、Excelなど)に変換し、保存または表示する作業です。

OCRを活用する5つのメリット

OCR活用には多大なメリットがあります。以下に5つの主要メリットを挙げました。

1.データ入力の手間を省ける

手動でのデータ入力作業を回避することができます。また、紙の文書や画像から自動的にテキストを抽出可能になるため、時間を節約できます。特に、大量の文書を扱う業務においては、OCRの導入により効率が飛躍的に向上します。また、手動でのデータ入力はミスが発生しがちでしたが、それをなくせるため、データの正確性も向上します。結果として、業務プロセス全体の効率化が図れ、人はより価値の高い業務に集中できるようになります。

2.データの検索が可能になる

紙の文書や画像内のテキストをデジタル化できるため、全文検索が可能になります。これにより、必要な情報を迅速かつ効率よく検索してたどりつけるようになり、業務のスピードと効率が向上します。たとえば、契約書や報告書などの重要な文書をデジタル化することで、特定のキーワードやフレーズで簡単に該当箇所に到達できます。本来目的とする業務の効率が非常に向上し、ビジネスのスピードが高まります。

3.書類を効率的に修正できる

紙の文書や画像内のテキストをデジタル化し、編集可能な形式に変換できるため、書類の修正や更新が容易になります。たとえば、既存の文書をOCRでテキスト化し、間違いがある箇所、書き換えたい箇所のみ迅速に修正するといったことが行えます。これらが実現することによって、手書きや印刷された文書の修正作業が大幅に効率化されるため、業務スピードが向上します。

4.保管スペースを削減できる

紙の文書をデジタル化することで、物理的な保管スペースを削減できます。具体的には、オフィススペースを有効に活用できたり、倉庫を維持するコストを削減できたりします。特に、大量の文書を扱う企業においては、デジタル化によるスペース節約効果は多大なものがあります。また、デジタルデータはクラウドストレージなどに保存することでできるため、大規模な自然災害への備えにもなります。

5.データの変換・再利用が可能になる

デジタル化したテキストは、他の形式に変換して再利用することが可能になります。たとえば、スキャンした文書をテキストファイルやPDFに変換し、他のシステムやアプリケーションで利用することができます。データの一貫性が保たれるとともに、業務プロセスの効率化が図れます。また、デジタルデータは容易に共有・配布できるため、社内外の組織とのコラボレーションを円滑に推進できます。

OCRはなぜ活用すべき?

OCRはなぜ活用すべきなのでしょうか。理由を考えてみました。

1.情報へのアクセススピードを飛躍的に高められる

OCRを活用することで、紙の文書をデジタル化すれば、検索可能なデータベースに変換することができ、必要な情報を迅速に検索・取得できるようになります。

2.情報の鮮度を維持できる

情報をリアルタイムに近いスピードでデジタル化できるとともに、いつでも修正可能になるため、常に最新のデータを保持し、情報の鮮度を維持できます。

3.ペーパーレスを大幅に促進する

紙の文書をデジタル化できることで、物理的な保管スペースを削減でき、結果としてペーパーレス化を大幅に促進できます。

4.人を単純作業から解放する

手動でのデータ入力作業を自動化できるため、従業員を単調で単純作業から解放し、より価値の高い業務に集中してもらうことができます。

図1 処理時間と処理量でみた手動とOCRの効率比較(挿入したメディアドライブの棒グラフのような図)

図1 処理時間と処理量でみた手動とOCRの効率比較(挿入したメディアドライブの棒グラフのような図)

これからの「AI OCR」

OCR分野では、近年AIを取り入れた「AI OCR」も注目を集めています。AI OCRのメリットは多岐にわたります。まず、手書き文字や複雑なフォントの認識精度が向上する点が挙げられます。従来のOCR技術では難しかった手書き文字の認識も、AIの導入により高精度で行えるようになりました。次に、文脈を理解した文字認識が可能になる点です。AIは文脈を解析し、誤認識を減少させることで、より正確なテキスト変換を実現します。また、処理速度の向上も大きなメリットです。AIの高速処理能力により、大量の文書を短時間でデジタル化できます。さらに、AI OCRは学習機能を持っており、最初の文字認識精度が低かったとしても、使用するたびにAIが学習していくために精度が向上していく点も魅力です。最後に、多言語対応も容易になります。AIは複数の言語やフォントに対応できるため、国際的な業務にも適しています。加えて、業務システムと連携させたり、クラウドサービスを創造できるなど、拡張性にも富んでいます。

OCRの活用事例

OCRを活用して業務を効率化した事例を紹介します。

固定資産管理の業務効率を向上 メーカーC

メーカーCでは、経理部の固定資産管理において、新規資産の登録を手作業でシステムに入力していました。しかし、資産数は月間数百に上ることがあり、多大な時間と労力がかかっていました。同社は資産情報をOCRで取り込むことを決断、これによって経理部はデータ入力から解放されました。また、実際の資産保有状況とシステム上の情報保有状況の間でほぼタイムラグがない状態になりました。

OCR処理からデータ連携まで管理するなら「OCRtran」

まとめ

いかがでしたか。ここまで、OCRの概要とこの技術を導入するメリット、活用事例を見てきました。OCRはそれほどコストをかけずに実現でき、ビジネス最前線の仕事を目にみえて効率化できる技術です。業種・業態を問わず人手不足が叫ばれる今日、大事な人材により重要な業務に集中してもらう意味でも、積極活用を試みる価値があります。AIを採り入れることでますます高度化が進んでいるOCR、ぜひ導入をご検討ください。

この記事の執筆者

データ連携EDIETL

データ・アプリケーション
データ活用研究チーム

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経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。
現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有しているデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて日本企業のDX推進を後押ししています。


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