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通信プロトコルとは?種類や代表的な例を初心者向けにわかりやすく解説

最終更新日:2025/09/08 通信プロトコルとは?種類や代表的な例を初心者向けにわかりやすく解説

インターネットやメール、オンライン会議など、私たちの生活やビジネスは通信プロトコルによって支えられています。しかし、そもそも通信プロトコルとは何か、どのような種類があるのかといったことを正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。この記事では、その概要から代表例、通信プロトコルの歴史的な共通化の流れやプロトコルスタックの仕組みまでをやさしく解説。さらに実際に業務効率化につなげていく方法もご紹介します。

INDEX

  1. 通信プロトコルとは?
  2. 通信プロトコルの種類は?代表的な例を紹介
  3. 通信プロトコルの共通化
  4. プロトコルスタックとは?
  5. 業務を効率化するなら
  6. まとめ

通信プロトコルとは?

通信プロトコルとは、コンピュータやネットワーク機器が互いに情報を正しくやり取りするために定められた約束事や手順のことをさします。人間同士が共通の言語を使わなければ意思疎通ができないのと同じように、異なる機器やソフトウェアも共通のルールに従って通信を行う必要があります。通信プロトコルには多くの種類があり、それぞれに役割があります。このようなプロトコルが存在することで、異なるメーカーや環境の機器同士でも円滑に通信できます。つまり、通信プロトコルというのは、情報社会を支える共通の言語としての役割を果たし、私たちが日常的に利用しているインターネットや電子メール、クラウドサービスなどでまさに基盤となっています。

通信プロトコルの種類は?代表的な例を紹介

上記で述べたように、通信プロトコルには多くの種類があり、それぞれに役割があります。ここでは、代表的なものをその正式名称とともに概説します。

IP(Internet Protocol)

IP(Internet Protocol)とは、インターネットをはじめとするネットワーク上でデータをやり取りするための基本的な通信プロトコルの一つです。コンピュータやスマートフォンなどの機器にはIPアドレスと呼ばれる番号が割り当てられており、これを用いて相手を識別し、データを適切な宛先へ届けます。送信する情報はそのままでは大きすぎるため、小さなパケットと呼ばれる単位に分割され、ネットワーク上を最適な経路で転送されます。これらのパケットは受信側で再構成され、元のデータとして扱われます。IPはデータを確実に届ける保証までは行わず、TCPやUDPといった上位プロトコルと組み合わせることで信頼性や速度が向上します。この仕組みにより、世界中の異なる機器同士が相互に接続され、インターネットの基盤が成り立っています。

TCP(Transmission Control Protocol)

TCP(Transmission Control Protocol)とは、インターネット通信で広く利用されるプロトコルで、データを確実に順序どおり届ける役割を担っています。IPの項目でも言及したように、ネットワーク上で送信される情報は小さなパケットに分割されますが、その過程で順序が入れ替わったり一部が失われたりする可能性があります。TCPは送信側と受信側の間で接続を確立し、パケットの番号付けや再送制御を行うことで欠落や重複を防ぎ、正しい順序でデータを再構成します。また、通信の開始から終了までを管理する仕組みを備えているため、信頼性の高い通信を実現できるのが特長です。Web閲覧やメール送受信、ファイル転送など、正確性が求められる多くのアプリケーションで利用されており、こちらもインターネットの安定的な利用を支える重要な基盤といえます。

UDP(User Datagram Protocol)

UDP(User Datagram Protocol)とは、これもインターネットで利用される主要な通信プロトコルの一つで、TCPと同様にIPの上位層に位置して機能します。大きな特長は、データを送信する際に接続の確立や到達確認を行わず、シンプルな仕組みですばやくやり取りできる点にあります。データは「データグラム」と呼ばれる単位で送られます。受信側に届く順序が入れ替わったり一部が失われたりするリスクはありますが、その分オーバーヘッドが小さく、リアルタイム性が重視される通信に用いられます。具体的には、音声通話や動画配信、オンラインゲームなど、多少の欠損よりも遅延の少なさが重要なサービスで活用されます。UDPは信頼性よりも速度を重視した通信手段として、TCPと補完関係を築きながらネットワークを支えています。

SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)

SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)とは、電子メールを送信するために用いられる基本的な通信プロトコルです。ユーザーがメールソフトで送信したメッセージは、まずSMTPを通じて送信元のメールサーバに渡され、さらに宛先のメールサーバへ転送されます。この仕組みによって、世界中の異なる環境にあるメールサーバ同士が共通のルールでやり取りできるようになっています。SMTPはメールの送信に特化しており、受信にはPOP3やIMAPといった別のプロトコルが利用されます。シンプルな構造を維持しつつも拡張機能が導入され、現在では暗号化通信や認証の仕組みと組み合わせて、安全にメールを届けるための基盤として広く活用されています。

HTTP(HyperText Transfer Protocol)

HTTP(HyperText Transfer Protocol)とは、WebブラウザとWebサーバの間でデータをやり取りするための通信プロトコルです。ユーザーがブラウザでURLを指定すると、HTTPを通じてサーバにリクエストが送信され、サーバはHTMLや画像、動画などのコンテンツをレスポンスとして返します。この仕組みにより、私たちはインターネット上の多様な情報にアクセスできるわけです。HTTPはテキストベースで動作し、シンプルな構造ながら拡張性が高く、今日のWebの発展を支えてきました。ただし通信内容が暗号化されないため、第三者に傍受されるリスクがあります。その弱点を補うのがHTTPSで、現在ではSSL/TLSといった暗号化技術を使って、通信内容を安全に守る仕組みが一般的になっています。

通信プロトコルの種類一覧表

上記以外にも通信プロトコルはさまざまあります。ここでは、その正式名称と概要を表形式でご紹介します。

表1 主な通信プロトコル一覧表

プロトコル 正式名称 概要
IP Internet Protocol ネットワーク上でデータをパケットに分割し、宛先のアドレスに基づいて転送する基本プロトコル。インターネットの基盤。
TCP Transmission Control Protocol データを正確かつ順序通りに届けるためのプロトコル。接続の確立、再送制御、誤り検出を行う。信頼性が高くWebやメールで利用。
UDP User Datagram Protocol 接続を確立せずにデータを送信する軽量なプロトコル。信頼性よりも速度を重視し、動画配信やオンラインゲーム向き。
HTTP HyperText Transfer Protocol WebブラウザとWebサーバー間でHTMLや画像などをやり取りするプロトコル。Webの基本を支える仕組み。
HTTPS HyperText Transfer Protocol Secure HTTPにSSL/TLSによる暗号化を組み合わせたプロトコル。通信の盗聴や改ざんを防止し、安全なWeb閲覧を可能にする。
SMTP Simple Mail Transfer Protocol 電子メールを送信するためのプロトコル。送信元サーバから宛先サーバへのメール転送を行う。
POP3 Post Office Protocol version 3 電子メールを受信するためのプロトコル。受信したメールを基本的に端末へダウンロードして利用する。
IMAP Internet Message Access Protocol 電子メールを受信するためのプロトコル。サーバ上にメールを保存し、複数端末から同期して閲覧できる。
FTP File Transfer Protocol ネットワーク経由でファイルを送受信するプロトコル。Webサイトの更新や大容量データ転送で利用。
SFTP SSH File Transfer Protocol FTPをSSHで暗号化した安全なファイル転送プロトコル。セキュリティ面で広く使われる。
SSH Secure Shell ネットワークを介してリモートコンピュータに安全に接続するためのプロトコル。暗号化通信を実現。
Telnet Teletype Network ネットワーク越しにコンピュータへ接続する初期のプロトコル。暗号化されないため現在はほぼ利用されない。
DNS Domain Name System ドメイン名をIPアドレスに変換するプロトコル。人間が扱いやすいURLを機械が理解できる形式に変換する。
SNMP Simple Network Management Protocol ネットワーク機器の監視や管理を行うためのプロトコル。運用部門での機器状態把握に活用。
NTP Network Time Protocol ネットワークを通じてコンピュータの時刻を正確に同期させるプロトコル。ログや取引の正確性に不可欠。
左右にスクロールして見れます

<出所>https://ja.wikipedia.org/wiki/通信プロトコル

通信プロトコルの共通化

通信プロトコルという概念はそもそも、アメリカ国防総省の高等研究計画局が1969年に構築した世界初のパケット通信ネットワーク ARPANETによって確立されました。当時、通信は研究機関ごとに異なる仕組みが存在し、相互に接続するのは困難でした。1970年代にTCP/IPが登場、これによってデータをパケットに分割して届けることができるようになります。1983年にはARPANETが正式にTCP/IPへ移行、これでインターネットの基盤が確立します。電子メールの普及に伴ってSMTPやPOP、IMAPも整備され、1990年代にはWebの普及とともにHTTPが標準化されました。並行してISOによるOSI参照モデルやIEEEのLAN規格なども進展し、標準化の枠組みがしだいに広がっていきました。また、その過程でそれまで独自の通信方式を提供していたマイクロソフトやアップルといった主要ベンダーも国際標準プロトコルの採用へと舵を切りました。つまり、標準化機関と産業界との歩調合わせにより、通信プロトコルは世界共通の規格として整備され、現在のインターネット社会を支える基盤となりました。

表2 通信プロトコルの標準化機関一覧表

略称 正式名称 存在目的
IETF Internet Engineering Task Force インターネットに関する技術標準(TCP/IPやHTTPなど)の開発と維持を行い、実装可能で実用的な標準を作成する。
W3C World Wide Web Consortium Web技術の国際標準化を推進する団体。HTMLやCSS、XMLなどWebに関するプロトコルや仕様を策定する。
ISO International Organization for Standardization 世界規模で産業や技術に関する国際規格を定める機関。通信分野ではOSI参照モデルなどを策定した。
ITU-T International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector 国際電気通信連合の標準化部門。電話や通信網、インターネットに関わる国際標準を策定し、相互接続性を確保する。
IEEE Institute of Electrical and Electronics Engineers 電気・電子・情報分野の国際学会。LANのIEEE 802シリーズ(EthernetやWi-Fi)などの通信規格を策定する。
IANA Internet Assigned Numbers Authority IPアドレスやドメイン名、プロトコル番号などインターネット資源の割り当て・管理を行う運用機関。
左右にスクロールして見れます

<出所>https://ja.wikipedia.org/wiki/標準化団体(コンピュータと通信)

プロトコルスタックとは?

プロトコルスタックとは、ネットワーク通信を成り立たせるための仕組みを階層構造として積み上げたものをさします。通信には、データの分割や転送、経路制御、誤り検出、アプリケーションへの受け渡しなど、さまざまな仕事(役割)があり、一つのプロトコルだけでは完結できません。そこで、これらを役割ごとに分担させながら、積み重ねるように構成します。インターネットで使われる代表的な例にTCP/IPスタックがあります。国際標準として定義されたOSI参照モデルは物理層からアプリケーション層まで7つの階層がありますが、TCP/IPはこの考え方を基盤にして、4つの階層に整理されています。最下層のネットワークインターフェース層は物理的な通信媒体を扱い、その上のインターネット層はIPアドレスを用いてデータの宛先を決定します。さらにその上のトランスポート層ではTCPやUDPが用いられ、通信の信頼性や効率を制御します。そして最上位のアプリケーション層ではHTTPやSMTP、FTPなどのサービスが動作し、ユーザーが直接利用するといった具合です。このように階層ごとに役割を分けることで、下位層の技術が変わっても上位層の仕組みを変える必要がなく、柔軟で拡張性の高い通信が可能になります。(以下参照)

図 OSI参照モデル、TCP/IPモデルとの相関

図 OSI参照モデル、TCP/IPモデルとの相関

業務を効率化するなら

企業間のデータ交換で通信プロトコルをめぐる業務効率化を考えるなら、データ・アプリケーションのクラウド型データ連携プラットフォーム(iPaaS)「ACMS Cloud」がおすすめです。多様な通信プロトコルを統合的に扱える点が大きな特長で、複雑なプロトコル環境をクラウド上で一元的に管理でき、常に安定した接続を保ちます。企業側は自社で複数の通信方式に対応するための開発や運用負担を大きく減らせ、将来的に新たな標準や取引先の要請が生じても柔軟に対応可能です。通信プロトコルという基盤をクラウドで最適化することで、企業は本来の業務に専念しつつ、より効率的かつ確実なデータ活用を実現できます。

より詳しい情報はこちら
https://www.dal.co.jp/products/di/acmscloud/outline.html

まとめ

いかがでしょうか。通信なくして業務なしといえるぐらい通信が重要なインフラである現在、通信プロトコルがインターネットや業務システムを支える上でいかに重要な仕組みであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。その種類や階層構造を理解すれば、より効率的で安全な情報活用のあり方が見えてきます。この記事が、貴社の通信基盤に今一度目を向けていただく機会となり、次に最適なソリューションを選択する一助になれば幸いです。

この記事の執筆者

データ連携EDIETL

データ・アプリケーション
データ活用研究チーム

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経歴・実績
株式会社データ・アプリケーションは、日本を代表するEDIソフトウェアメーカーです。設立は1982年、以来EDIのリーディングカンパニーとして、企業間の取引を円滑に効率化するソリューションを提供しています。1991年からは日本の標準EDIの開発やSCM普及にも携わっており、日本のEDI/SCM発展に寄与してきました。
現在は、EDI/SCM分野のみならず、企業が所有しているデータの活用についてもビジネススコープを広げています。ハブとなるデータ基盤提供を始めとして、さまざまな角度から幅広く研究・分析を行っており、その提言を通じて日本企業のDX推進を後押ししています。


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