Case Study導入事例

株式会社オオゼキ株式会社オオゼキ(小売業)導入事例

現場重視の思いから実現された納品出荷伝票電子化システム
スピード開発を後押ししたのはACMS WebFramer

アイネス様の伝票電子化システムを活用し、納品出荷伝票の電子化および電帳法にも対応したオオゼキ様の動画です。

エンタープライズWeb-EDIシステム基盤 ACMS WebFramerで伝票電子化システム(電帳法対応)を構築したアイネス様の動画です。

  • 課題
    紙の納品出荷伝票のため検収や検索などの事務作業に時間が必要
    納品出荷伝票を保管するための倉庫コスト負担も大
  • 評価
    30~40分かかった検収時間が10分に一発検索で伝票探しのストレスも軽減
    店舗・本社を合わせた省力化によるコストダウン効果は年間約2,000万円

「喜客」というオオゼキspiritで他の量販店とは一味違う魅力を発揮

株式会社オオゼキは、東京、神奈川、千葉に41の店舗を展開するスーパーマーケットチェーンだ。始まりは昭和32年、東急世田谷線 松原駅そばの小さな市場内に開いた乾物店だった。その商いから「お客様に喜んでもらう」(喜客)というオオゼキspiritが誕生。スーパーマーケットとして多店舗化していく中で、お客様第一主義と、地域密着主義・個店主義という企業理念が醸成された。

たとえば、同社では顧客に要望された商品は、たとえ一品でも提供する努力を惜しまない。仕入れ・販売は各店舗の担当者の判断で行う。つまり、セントラル・バイイングを行っていない。そのため、店舗には他の量販店では置かない希少な商品が多数あり、店によって商品構成も異なる。各店舗が独自の個性を発揮しているのが魅力だ。

紙の伝票ゆえに生じていた複数の課題を問題視

同社には、課題と感じていることがあった。紙の納品出荷伝票だ。仕入れ担当者は毎朝、商品が納品される際に大量の納品出荷伝票を受け取る。品出しの後、事務所でこの伝票に対して検収したというチェックマークと署名を行う。伝票は担当者当たり毎日100枚以上ある。検収チェックが終わると、店での控え分を切り取り、後は伝票専用の袋に詰め毎日社内便で本社へ送る。本社では分類・ファイリングを行い、段ボールに詰め、契約倉庫へ送って保管する。一方、店での控え伝票は事務所で保管される。後で仕入れ価格を確認したり、売価変更などで書きこみを行ったりすることがあるからだ。

具体的な課題は3点あった。

1点目は、検収チェックだ。伝票が多いため、単純な事務作業に毎日30~40分を費やしていた。

2点目は、伝票検索である。紙であるがゆえに、求める伝票を見つけるのにどうしても手間取るのだ。

3点目は、保管スペースと費用だ。本社へ送られる伝票ボリュームは段ボール箱にして月間35箱分ある。倉庫コストがかさんでいた。人件費も含め、納品出荷伝票関連の総コストを試算したところ、年間2,000万円の金額に上っていると判明。抜本的な業務改革に着手することになった。

アイネスが提案したのはACMS WebFramer活用システム

同社では、タブレット端末を活用した納品出荷伝票の電子化により課題解決できるのではないかと考え、取り引きのあった株式会社アイネスに提案を依頼する。タブレット端末活用は、同業他社視察でヒントを得ていたものだ。

話を聞いたアイネスでは、すぐにアイデアが浮かんだ。実現方法はこうだ。オオゼキではEDIを行っており、納品出荷伝票実現に必要なデータはすでにある。これを、データ・アプリケーションのACMS WebFramerに載せて、電子納品伝票とするのだ。ACMS WebFramerは、標準提供のひな形をベースとして画面レイアウトを支援するエンタープライズWeb-EDIシステム基盤だ。EDIデータを格納するデータベースのレイアウトも容易に行える。あとは業務フローなどを設定するだけで、簡単にアプリケーションを構築できる。

株式会社アイネス 金融・社会ソリューション本部 金融・社会営業部 第二課長 木村 浩之氏は次のように語る。
「要件を詳しく伺って、これはACMS WebFramerの出番だと考えました。当社にはこのツールを活用してEDI案件を受注した実績がありました。すでにノウハウがあったため迅速に開発して提供できると思いました。一から開発することは、時間がかかるだけでなくコスト高になってしまうので、まったく考えませんでした。」

スクラッチ開発やパッケージ製品と比較し、Web-EDIシステム基盤ACMS WebFramer活用システムを採用

ただ、システム技術統括本部では他の可能性も探ってみたという。1つはシステム開発で、もう1つはパッケージ製品の利用だ。しかし、前者では時間とコストがかかりすぎ、後者では自分たちの望むものが作れないと判断した。株式会社オオゼキ システム技術統括本部 部長 鈴木 弘氏はこう語る。
「完成するのに1年も2年もかかっていたのでは、ビジネスの状況が変わってしまいます。また、できるだけ早く仕入れ担当者を時間のかかる検収作業から解放したいという思いがあり、半年ぐらいで実現させたいと思いました。
かといって、パッケージ製品の採用は困難でした。たとえば、伝票1行ごとにOKボタンを押す仕様になっており、チェーンストア統一伝票100枚、つまり600商品あるとすれば600回OKボタンを押す必要があります。それは非現実的です。
そう考えると、ACMS WebFramerという基盤を活用する開発が最も理にかなっていました。」

開発着手から2カ月でプロトタイプが完成

開発着手したのは2021年1月。このとき、アイネスはプロジェクトに入社2~3年目の若手エンジニア2名を抜擢した。データベース開発に慣れていたわけではなかったが、めきめき腕を上げており、ACMS WebFramerの扱いにも習熟していた。ベテランエンジニアの的確なリードもあって、順調に伝票画面設定は進み、2021年3月にはオオゼキ側へ提示できるプロトタイプが完成。そこから、データの並び、表示範囲、入力の省力化、また検索結果を最適化するためのデータの持ち方など、実際の画面を見ながら両社でしっかり議論を重ねていった。鈴木氏によると、現場で活用するシステムであるため、使い勝手にはかなりこだわったという。

システム導入後の納品出荷伝票の流れ

そして2021年6月、「納品出荷伝票電子化システム」が完成。システム導入後の納品出荷伝票の流れは次のようになった。

取引先で納品が確定すると、物流センターでは納品出荷伝票を電子的に送信し、ACMS WebFramerを基盤とするシステム内のデータベースに取り込む。商品カテゴリーによっては前日に届くものもある。品出しのあと、事務所で検収チェックを行うのは同じだが、今は商品点数が何百とあっても一括で行え、後は更新ボタンを押せば完了だ。検収チェックが終了したデータについては、本社からも参照可能になる。ただし、データ参照には相応のアクセス権限が必要で、その権限設定・管理を行っているのもACMS WebFramerだ。

タブレットでは、必要に応じて検索も行えれば、書きこみもできる。ただし、翌月の10日を過ぎると、バッチ処理で参照オンリーの領域へ移され、参照しかできなくなる。これは、改正電子帳簿保存法に対応した措置である。ここで7年間保管され、7年が過ぎたデータは、自動的に削除される。

現在、店舗当たり2台、計82台のタブレット端末が配布されており、店舗当たり約8名の担当者の間で活用されている。

「納品出荷伝票電子化システム」の活用により約2,000万円のコスト削減を実現

システムの導入によって得られた効果は多大だ。まず、事務作業が軽減された。株式会社オオゼキ 第二商品本部 デイリー部門 課長代理 宍戸 悠帆氏はこう語る。この部門は、牛乳やパン、菓子などを扱う部門だ。
「一括チェックが可能になって、30~40分かかっていた作業が10分以内に終わるようになり、売り場に出る時間を長くとれるようになりました。また、伝票を探すのが各段に楽になりました。この作業は時間が見積もれず、お客様との会話という一番重要な時間を削ることとなるため、ストレスの種になっていました。今は一回の検索ですぐ見つかるので時短になっています。検索できるという点に、伝票電子化の効果を実感しています。」

株式会社オオゼキ 第二商品本部 グロッサリー部門 チーフ 寺西 亮太氏はこう語る。こちらは、酒類や雑貨を扱う部門である。
「グロッサリーでは前日に納品内容がわかるため、当日の品出し効率が上がりました。今は、特売品コーナーをこう作ろうなどと事前に考えておくことができます。商品と伝票が同時だと『ああ、これもあった』と思い出しながらの作業になり、あれこれ試行錯誤するので時間がかかりがちでした。」

次に、紙の納品出荷伝票が減った。鮮魚など独自の紙伝票が残る部門や、特急注文でEDIに載らない商品もあり、ゼロにはなっていないが、段ボール箱は月35箱から月10箱になった。倉庫は今も利用するが、そのスペースは縮小している。本社では分類・ファイリング作業が不要になった。現時点でのコストダウン効果は年間2,000万円と算出されている。

そして、結果的に改正電子帳簿保存法への対応も実現した。これによって、監査や税務調査の際も求められる伝票を改ざんがないことを保証した上で提出できる。

実は、物流センターにとっての効果もあった。従来、物流センターでは、納品出荷データが確定された段階で、これを本社宛てにFAX送信していた。データ件数の多さから、物流センターとしては大きな負荷になっていた。しかし、データが電子的に送れるようになったことで、このFAX送信業務が不要となったのだ。

今後は段ボール2箱にまで削減すべく取引先とさらなる交渉

同社では今後、特急注文以外の紙の納品出荷伝票をゼロにし、段ボール箱を月間10箱から2箱にするという目標に向け取引先と交渉中だ。

また、現場からはタブレット端末に加えてPC版システムも欲しいという話が出ている。書きこみをするならキーボードのある方が便利、というのが主な理由だ。

株式会社アイネス 金融・社会ソリューション本部 社会基盤ソリューション開発部 第一課長 信嶋 一弘氏は、このプロジェクトでACMS WebFramerの果たした役割について、次のように語る。
「この基盤のおかげで、EDIデータを使った納品出荷伝票電子化システムのプロトタイプが、若手エンジニアを抜擢しながらも、2ヶ月もかからずにできあがりました。その後、オオゼキさまとの間でより高い操作性をめざした調整プロセスにしっかり時間を割くことができたため、現場で使いやすいシステムとして提供できたと思います。」

現場を重視する思いから始まった業務効率化プロジェクト。ニーズを酌んだシステムが迅速に開発された背景には、基盤としてのACMS WebFramerの存在があった。

株式会社オオゼキ 納品出荷伝票電子化システム システム構成図
明細一覧画面の画面例
オオゼキ 下北沢店 外観と品ぞろえ豊富な商品棚

ACMS WebFramerの事例

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