Case Study導入事例

株式会社Looop株式会社Looop(電気・ガス)導入事例

自然で安価なエネルギー「Looop でんき」
その迅速な事業スタートを実現させたのはACMS

  • 課題
    電力自由化の開始に照準を合わせ、急遽、残り3か月で低圧小売電気事業参入を決断
    失敗できなかったスイッチング支援システムとの連携
  • 評価
    早期の事業参入に成功し、26,000件もの顧客獲得でブランドを確立
    スイッチング支援システムとの連携に関してシステムトラブルはゼロ

東日本大震災を契機に自然エネルギー供給に立ち上がる

忘れもしない2011年3月11日、東日本大震災が発生した。この未曾有の災害を契機に、株式会社Looopは立ち上がった。経営トップである中村創一郎氏らが甚大な被害を受けた宮城県石巻市・気仙沼市を訪ね、複数の施設へ独立型ソーラー発電セットを無償で設置。その経験から「自然エネルギーには可能性がある」と同社を設立、「独立型ソーラー発電セット」、「MY 発電所キット」などの販売を開始した。顧客は今や全国に広がり、その件数は約1,600に及ぶ。その後、同社はそうした顧客が発電した太陽光電力を購入して新電力事業者へ卸売りする事業に参入。2015年12月には、工場、ビル、百貨店、スーパー向け高圧・特別高圧電力領域で自ら小売分野に進出した。

小売分野にはまた、一般家庭を対象とした低圧領域もある。2016年4月には電力自由化が予定されており、同社にとっては絶好のビジネスチャンスだった。新しいプレーヤーとして最初から存在を示すことが重要と、2016年1月に参入を決断。しかし、純粋なBtoCビジネスを手がけるのは初めての経験で、社内人材も有志数人という状態だった。

電力自由化に合わせた事業参入に選んだのはACMS

「参入するなら、3月11日申し込み受付開始」

株式会社Looop 執行役員 電力事業本部本部長 小嶋祐輔氏は、これを絶対に守りたいスタートラインと考えた。同社にとって3月11日は会社設立の動機であり、「世の中に自然エネルギーを普及させたい」という企業メッセージを伝えるためにも大きな意味があったからだ。

その一方で、事業開始まで時間も人材も限られていた。低圧領域の小売電力事業には、電力需給調整機関である電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)が提供する電力会社の切り替えに係る各種業務を支援するスイッチング支援システムとの連携という作業が存在する。小売電力事業に参入する事業者は、業務効率化のために、スイッチング支援システムに自動連携するWeb-API方式に準拠したシステムを事業開始までに自ら用意しなければならない。そこで株式会社LooopはDALの電力自由化向け統合EDIソリューション「ACMS 広域機関連携パック」(以下、ACMS)の採用を決めた。小嶋氏はその理由を次のように語る。「低圧領域の小売電気事業は、数名でスタートしたこともあり、商品企画、コールセンターやホームページの開設、広告展開など、3月11日までに進めなければならない仕事が山積していて、システムを自社開発している時間はとてもありませんでした。スイッチング支援システムとの連携はこのBtoCビジネスの核心で、ここで何かトラブルが発生すれば『新電力ってやっぱりだめだね』と顧客が失望感を抱いてしまいます。ここだけはどうあっても失敗できない、トラブルなく行きたいと思っていたところで出会ったのがACMSでした。日本の電力会社10社にも採用されており、広域機関も推奨、導入実績は申し分ありませんでした。検討した時期はすでに2月後半でしたが、これを採用すれば3月11日のスタートに間に合う目途が立ったため迷うことなく選択しました。」

機会損失なく早期参入できたことは何ものにも代えがたい

その3月11日、同社は申し込み受付を開始、4月からは電力供給も始めた。新規小売電気事業者がひしめく中で基本料金無料の「Looopでんき」は当初から高い人気を博し、4月ひと月で8,000件の顧客を獲得した。2016年9月時点で26,000件を突破、小売電気事業者を評価するサイトでも同社は人気ランキング1位を獲得、ブランド確立に見事成功した。この間、ACMSは安定的に稼働し、スイッチング支援システムとの連携に関して、システムトラブルはまったく発生していない。「自社開発していたとしたら、何かシステムトラブルが発生したかもしれないし、そもそも3月11日にビジネスをスタートできていませんでした。そのような機会損失を定量化するのは難しいですが、たぶん1,000万円は下らないでしょう。しかし、コスト以上に重要なのが、電力自由化スタートに事業参入が間に合ったということで、これは何ものにも代えがたい導入効果です。」小嶋氏はこう語る。

「Looopでんき」の顧客数は右肩上がりで伸び続けている。この先は高圧・特別高圧電力領域で同社を選択した顧客企業や、「取次」と呼ばれる仲介事業者を通じた申し込みも増加する見込み。そうした案件は一気に数十件、数百件単位でスイッチングが必要になり、さらにスイッチング支援システムとの連携の重要性が増すことになる。

また同社では、自然エネルギーによる電気をより安価に提供するため、今後もベンチャー企業の気概を忘れることなく、リーンな経営体質を維持し続ける方針だ。当然この事業も例外ではなく、顧客ボリュームが劇的に増えても、システム開発を含め部門体制を大きく拡大する予定はない。つまり、より多くの業務を少ない人材リソースで対応することになるが、ACMSに関しては「規模が拡大しても安定稼働してくれることを確信しています。」と小嶋氏は全幅の信頼を寄せている。具体的に、2016年度の顧客獲得目標は50,000件(年間売上高50億円の規模)で、単年度黒字をめざす。

データ連携という点では、ACMSは広域機関への電力供給計画提出や、バランシンググループ業務でも利用できる。バランシンググループとは、別名「代表契約者制度」といい、代表契約者となる新電力事業者が複数の新電力事業者を取りまとめて、参加した各新電力事業者間でインバランスを調整、電力供給の同時同量を達成させるというもの。株式会社Looopにおいても、今後のビジネス拡大を見ながらその適用を検討していくとのこと。

燃料を使わず、しかも小さな地域単位で電気を生み出して利用できる自然エネルギーは、環境や経済のあり方を大きく変える。その信念のもと、破竹の勢いで突き進む株式会社Looopのビジネスの中核で、ACMSが貢献している。

※「ACMS 広域機関連携パック」は、統合EDI製品「ACMSシリーズ」に加え、各種トレーニングや、コンサルティングをトータルにてご提供する電力自由化向けソリューション

株式会社Looop システム構成図
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