Case Study導入事例

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電気機器・電子ACMS B2BPDF

固定電話のIP網化でインターネットEDI移行を早期決断
セキュアな2ノード構成ACMS B2Bへアップグレード

  • 課題
    ISDN回線では日々のデータ伝送に必要な通信機器の入手が困難に
    固定電話のIP網移行でISDN回線を使い続けていくことのリスクを認識
  • 評価
    取引先企業3社とSFTP接続を開始伝送時間が従来の1/2に短縮化
    ISDN回線でのEDIに潜むリスクを脱し、よりセキュアでより開かれた環境を整備

“通信機器が普通に手に入らない”ISDN回線で行うEDIの先行きに赤信号

日本航空電子工業株式会社は、革新的で創造性に富んだ高い技術・開発力を背景に、コネクタ事業を始め、インターフェース・ソリューション事業、航機事業をグローバル展開する製造事業者だ。1953年の創業以来、顧客のイノベーション実現を加速する技術開発・ものづくりに注力しており、スマートフォンの中に入っている小さな製品から新幹線の電気連結器のような大型製品まで、同社の製品は産業界や社会の中で幅広く活用されている。

同グループにおいて、情報システム開発・運用を担っているのが航空電子ビジネスサポート株式会社である。同社ではこれまでEDI業務を、DALのB2Bサーバ ACMS B2B バージョン4を使いISDN回線で行ってきた。2015年、ダイヤルアップルータにハードウェア障害が発生し、その代替機を市場で調達できないという事態に直面した。このときは社内の別部門で使っていたものを転用して対応したものの、「この次は入手できないかもしれない」と航空電子ビジネスサポート株式会社 システム開発部 主任 吉田昇氏は心細い気持ちになったそうだ。

2017年10月、吉田氏はDAL主催セミナー「Predicting EDI Impact 2017」に参加した。これはNTT東日本・西日本による固定電話のIP網移行とEDIに及ぼす影響を解説するものだったのだが、同氏はISDN回線を使い続けていくことのリスクを改めて認識。また、会場が満席だったことで同じ課題を抱える企業が多数存在することに気付いた。「早く動かないと、移行に必要なさまざまなリソースが取り合いになる」と考えた吉田氏は、さっそく経営層にインターネットEDIへの移行を上申した。

通信機能の分散配置が可能だったACMS B2Bバージョン5へアップグレード

吉田氏をPMとする社内プロジェクトチームは、まずインターネット回線の整備から開始した。そして、いったん既存のACMS B2Bバージョン4で取引先企業と疎通テストを行い、その後改めてサーバを最新版のバージョン5へアップグレードすることにした。段階を踏んだのは、問題が生じたときの切り分けを容易にするためである。

それでは、誰と最初に疎通テストを行うか。同社ではJEITAのVANサービス5社を利用するとともに、一部の取引先企業と直接接続を行っているのだが、タイミングよく、声をかけようとした大手運送会社の1社からコンタクトがあった。相前後して欧州の自動車メーカーと別の大手運送会社からも接続要望が寄せられ、この3社を最初の相手先に決定した。

疎通テストは時間を費やす工程だった、と吉田氏は語る。「大きな要因はスケジュール調整とエラー原因の究明にあります。お互いのチームとEDI環境の可動時間をマッチングさせるのが困難で、双方とも自社の設定は正しいと思い込みがちでなかなか原因にたどり着けない。調整を重ね3ヶ月経っていることもあります」

疎通テストが一段落すると、ACMS B2Bバージョン5へのアップグレードが行われた。航空電子ビジネスサポート株式会社 IT基盤技術部 担当課長 倉田達矢氏は次のように語る。「バージョン5に上げようと思った最大の理由は、2ノード構成で通信機能の分散配置が可能だったからです。今回、通信プロトコルにSFTPを選んだのも、取引先企業が対応可能だったということもありますが、SSHの仕組みでセキュアに通信できるからでした。ACMS B2Bバージョン5では、ACMS B2Bを社内とDMZに分散配置でき、重要な業務データや管理情報をDMZに置かなくていいのが魅力的でした」

吉田氏は倉田氏を補足してこう語る。「もう一つ、ACMS B2Bには対応可能な通信プロトコルの豊富さがあります。実は当初、欧州の自動車メーカーからはOFTP2での接続を要請されました。今回はSFTPをサポートする英国のVANサービスが間に入ってくれたのですが、こうした打診はこれからも続くでしょうし、始まったらその後の展開は非常にスピーディーです。依頼された通信プロトコルに『対応できない』と言えば、次のチャンスはいつ来るか。どう転んでも対応できるよう備えていることが重要だと思いました」

ACMS B2Bバージョン5へのアップグレードは、プロジェクトチーム自身で行った。これはスキルやノウハウを社内に蓄積するためだ。DALは開発・検証環境のみ構築を行い、手順書とマニュアルとともに納品した。その後、倉田氏はACMS B2B構築が初めてだったにもかかわらず、半日ほどの作業で本番環境を完成させた。「設定そのものが非常にシンプルでわかりやすかったのと、開発・検証環境が横にあってすぐ参照できたのが大きかったですね」(倉田氏)

インターネットEDIへの移行で一斉伝送が実現、伝送時間も1/2に短縮

2019年6月現在、大手運送会社2社と海外VANとのインターネットEDIはすべて本番ステージへ移行した。同社では一定のデータ単位で一日何度も伝送を行うが、今までは遅延を防ぐため、取引先企業によって細かい時間差設定を行っていた。しかし、インターネットへ移行したことで一斉伝送が実現、しかも伝送時間は1/2以下になったという。この先本格的にJEITAのVANサービスとのインターネットEDIによる接続が始まれば、さらに目覚ましい効果が享受できるだろうと吉田氏は期待を寄せている。

システムインテグレータであるビジネスエンジニアリング株式会社 瀬戸啓介氏は、今回のプロジェクトを評して次のように語る。「SAPでEDI業務を行われるお客様を多く支援していますが、最初のインターネットEDI移行事例として、多くのお客様に紹介したいすばらしい事例が誕生しました」

ACMS B2Bバージョン5へのアップグレードへのバージョンアップにより、ISDN回線でのEDIに潜むリスクを早々と脱しただけでなく、よりセキュアでより開かれた環境を整備した日本航空電子工業。プロジェクトチームはインターネットEDIへの移行をさらに加速させ、移行完了に向け、早くも次のフェーズに向かっていた。

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