Case Study導入事例

株式会社ヤスサキ株式会社ヤスサキ(小売)導入事例

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システム老朽化を契機にACMSで流通BMS対応
2ヶ月足らずの短期移行で軽減税率対策補助金獲得にも成功

  • 課題
    旧EDIシステムが老朽化普及の進んだ流通BMS対応を決断
    常態化する人手不足で店舗業務負荷軽減が必須
  • 評価
    実質2ヶ月足らずの構築で補助金獲得、スムーズな移行にも成功
    取引先とより正確なデータ共有、効率の高い店舗業務が実現

北陸の地域一番店、システム老朽化を機にEDI刷新を決断

株式会社ヤスサキは、北陸地方を商圏に食品スーパー11店舗、衣料品店舗10店舗、ホームセンター5店舗、その他、ファッション・雑貨専門店、100円均一のFC店舗などを運営する量販事業者である。衣・食・住すべてをカバーする商品提供をモットーに、豊富な品揃えで地域一番店の地位を確立している。特に食品は「グルメ館にないものはない」との評価を獲得、巧みなポイントマーケティングともあいまって北陸の人々の胃袋をつかんでいる。

同社では、13年来、自社独自のデータフォーマットによるインターネットを使ったEDIシステムを利用してきたが、自社のEDIシステムだけでなく、取引先に使っていただいている受注システムも老朽化が顕著だった。また、2019年10月1日実施が確定の消費税軽減税率へ対応する必要性もあり、2016年7月にEDIシステム刷新の検討を始めた。

その際、最も重視したのは、取引先の負担をできるだけ抑え、受注システムの切り替えをスムーズに行うこと。また、その後も安心して取引できる運用を考えたシステムを構築することを目標に、EDIの仕様は、流通業界標準の流通BMSを採用した。おりしも、2019年10月1日実施の消費税軽減税率対応に向けて、受発注システムの改修費用に政府が補助金を用意していた。2016年春当時、その締め切りは2017年3月末で、申請するなら迅速に動く必要があった。

加えて同社では、2016年の中期経営計画で、今後5ヶ年で新たに20店舗をオープン、売上高を230億円から300億円へ引き上げる目標を立てていた。そのためにも受発注業務の更なる整備と効率化は必要不可欠な布石として、同社はEDIシステムの刷新を決断した。

ACMSで流通BMS対応を短期間で実現し、多様な取引先への配慮が可能に

今回、新EDIシステムの取引対象は、旧EDIシステムを利用していた約200社だ。内訳は家族経営から大手企業まで多様なため、切り替えに当たっては経営規模に合わせた配慮が求められた。また、小売業界の人手不足は北陸でも例外ではなく、少ないスタッフで店舗業務を回転させる必要があり、日ごろから"従業員満足なくして顧客満足なし"を繰り返し口にしている経営トップからも「店舗オペレーションを煩雑にしないように」と厳命されていた。

2016年夏、この要件を満たすものとして選択されたのが、DALのB2Bインテグレーションサーバ「ACMS E2X」(以下、ACMS)を中核とするEDIソリューションだった。

今回、取引先の経営規模や取引量、発注頻度に合わせ、3つの流通BMS対応パターンを用意した。

1番目は、すでに流通BMS導入済みの大手企業やヤスサキとの取引に自社開発または対応ソフトウェアを自社調達し導入してもらったパターン。これが65社あった。

2番目は、自社調達は困難だが、取引量も多く自社システムとのデータ連携が必要で対応ソフトウェアを希望した企業を対象とするもの。これが48社あり、リテイルサイエンスの流通BMS業務支援パッケージ「WinWin-EDI」をレンタルで提供した。

一方、自社システムとの連携は必要なく、取引量は比較的少ないが、ヤスサキとの取引をEDIで継続したいというところもある。そうした企業が44社あり、これらの企業を対象に3番目のパターンとして用意したのが、「ACMS WebFramer」と「ACMS WebFramer 流通BMS対応Web-EDIテンプレート」で構築したWeb-EDIだ。これであればヤスサキとの取引に最適化されたWeb-EDIを提供でき、取引先にシステム専任がいなくても、インターネット環境とブラウザさえあれば迅速にWeb-EDIが開始できる。

取引先の窓口は多様だが、店舗側では従来どおり商品バーコードを読み取って数量を入力し、発注を確定するだけ。あとはACMSが引き取りデータ交換を行い、データは取引先に応じた形で届く。株式会社ヤスサキ管理部 マネージャー 財務・経理・人事・システム担当 木間(このま)学氏は採用の理由を次のように語る。「業界標準の流通BMS、それに対応したACMSを導入し3つのパターンを提供することで、企業規模の異なる取引先に対し導入負担も低く抑えられると考えました。それでいて店舗側の発注オペレーションは、どのパターンで取引している取引先であっても変化はないため、これが最善の選択だと判断しました」。

負担軽減という観点では、同社は取引先のシステム利用料の大半を補助。また、システム切り替えに関して、説明会の開催や電話やメールでの綿密なやりとりで取引先を全面的にフォローした。

実質2ヶ月かけずに構築、スムーズに移行軽減税率対策補助金も獲得

実際の構築に入ったのは、補助金締め切りが翌月に迫った2017年2月だ。しかし、時間はそれほどかからなかった。自社調達パターンの取引先で接続テストを含めて1社あたり約1週間。「WinWin-EDI」導入企業はインストールから操作説明まで含めて1日で、Web-EDI利用企業に至っては、運用開始前に集合操作説明会を実施しただけで、3月末までに本番稼働に踏み切ることができたのだ。ヤスサキのシステムインテグレータである株式会社リテイルサイエンス システムソリューショングループ 執行役員 増子大輔氏は次のように語る。

「今回の導入に関しては、ヤスサキ様と取引先の日ごろの良好な取引関係が奏功して全社終始協力的でした。もちろん、システム切り替え前後の3~4月に取引先の間で混乱がなかったといえばうそになります。しかし、5月に入るとそれもぴたりと収束しました。受発注という日常業務の転換にしてはスムーズな移行だったと思います」。

新システムから出荷データを受け取って検品後、受領データも返す運用が始まった。これにより取引先が迅速に出荷データと照合でき、ヤスサキと正確な情報を共有できるようになった。また、多くの取引先に「WinWin-EDI」と「ACMS WebFramer」によるWeb-EDIを選択いただいたことで、予期せぬ運用やデータなどの発生もなかった。さらに、自社構築された取引先とのデータ交換も、「ACMS E2X」による整合性のチェックやエラー通知、データ交換の履歴などから、エラー発生時は、取引先と迅速な対処が行え、安定したデータ交換によって店舗でも本来の業務に専念できる体制が確立した。そして何より、短期間で本稼働を果たせたことで軽減税率対策補助金が活用でき、システム導入費の削減も実現できた。取引先に配慮しつつ店舗オペレーションを効率化、法改正にも余裕で対応できるようになったヤスサキ。「まだEDIでの取引未体験の取引先もあるので、導入していただけるよう尽力したい」と木間氏は展望を語った。

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