TIS株式会社(以下、TIS)は、ITホールディングスグループの国内大手システムインテグレーターだ。 40年以上にわたり顧客とともにノウハウや技術力を蓄積し、プロフェッショナルなチームワークと推進力により数多くのプロジェクトを手がけてきた。 今日では、日本のみならずアジア市場にも進出、その存在感をさらに強めている。
同社のビジネスを特徴づけるソリューションの一つに、SaaS型EDIサービス TEDIOS※がある。 これは、商取引に不可欠なEDI基盤リソースをサービスとして提供するもの。 最初に設定したリソースの範囲であれば、トランザクション容量が増えても定額というリソース課金型サービスが大きな特徴で、2011年のリリース以後、金融、製造などシステム要件レベルの高い業界で、注目を集める大型案件を次々と成功させている。
このサービスの中核がDALのB2Bインテグレーションサーバ ACMS E2Xだ。 国内シェア40%を誇り、業界を超えて信頼のEDIブランドとして認知されているACMSは、このサービスのネームバリューを高めるとともに、SaaS移行への敷居を下げてきた。 多彩なビジネスで採用されるにつれ、近年、TEDIOSは文字通り "止められない" システムになってきた。
TIS プラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 主査 棚田俊之氏は、次のように語る。 「これまでメンテナンスにはシステム停止が不可避でした。 しかし、顧客のビジネスによって止められる時間帯が異なります。 最近は24 時間365日稼働を方針とする企業も増え、このままいくとほんとうに止められなくなります。 また、一連の自然災害を受けたDR※対策、大規模な情報漏えい事件を受けたセキュリティ対策などにも関心が高くなっており、高可用性、セキュリティ強化をテーマとした機能拡張が喫緊の課題でした。」
それと並行して、EDI 環境そのものも変化していた。 2020年度後半、NTTのISDNサービス INSネットのディジタル通信モードの終了が予定されており、これを活用する全銀手順が使えなくなる。 また、データ交換用媒体として広く使われてきた磁気テープ CMT※もサポート終了が近づき、代替手段を考えなければならない。
DALでは、こうした環境変化をにらみ、新しいコンセプトのACMS ApexをACMSシリーズの最上位モデルとして開発に注力してきた。 それが中盤に入った2014年、DALはTISにSaaS型EDIを提供する立場からACMS Apexの機能に対する意見を求めた。
時を同じくして、TISではTEDIOSの新しい顧客ニーズに応えるために後継サービスであるTEDIOS-Ⅱ※の企画を進めていた。 そこにACMS Apexを採用するなら必須の機能として、同社は、無停止メンテナンス、DR対応、PCIDSS※準拠、リアルタイムデータ連携機能、インターネットEDI対応の5つを挙げた。
無停止メンテナンス、DR対応は、可用性向上のための要件である。 ACMS Apexでは、すでに開発当初からそのコンセプトを有していた。 管理ノードに障害が発生したとしても、代替ノードへの自動切替によって稼働を継続する。 また、必要な機能を分散配置できるため、要件に応じてシステム拡張が可能で、システムを全停止することなく、バージョンのアップグレード等を容易に行えるのだ。
一方、PCI DSSは金融業界におけるクレジットカードに関したグローバルなセキュリティ標準だ。 12カテゴリーにわたる厳しいセキュリティ要件を満たす必要がある。 もちろん、ACMS Apexは、対象となるPCI DSSのセキュリティ要件に準拠した。 インターネットEDI対応という点では、ACMS Apexは国内外の主要なEDI標準通信プロトコルを提供しており、Web、メール、HTTPなど非定形のデータ連携も提供を予定していた。
これらの点を評価したことと、2015年にDALから提供されたACMS Apexのβ版の検証を経て、TISはACMS ApexをTEDIOS-Ⅱのデータ連携基盤として選んだ。 TISプラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 シニアエキスパート 仲矢靖之氏は次のように語る。「TISとDALは過去20年にわたってEDIビジネスを牽引してきました。今回、TEDIOS-Ⅱを企画するにあたり、SaaS型EDIを提供する立場としてDALにわれわれは要望を出し、ACMS Apexはそれを酌んでくれました。ACMS Apexが、時間に厳格で信用に基づいて行われる日本の商取引を熟知した上でのデータ連携基盤であること、DALのとことん付き合ってくれる企業姿勢も心強く思っています。」
TISプラットフォームサービス本部 プラットフォームサービス事業部 プラットフォームサービス第2部 主査 木村真氏は、仲矢氏を補足してこう語る。「今回、ACMS E2X以上の処理性能とTEDIOSからTEDIOS-Ⅱへの移行を考慮した上位互換性にもこだわりましたが、DALは満足いくレベルでこれを満たしてくれました。」
TEDIOS-Ⅱの正式リリースは2016年6月末だが、2015年から始めていたプリセールス活動が功を奏し、この次世代サービスには多くの引き合いが殺到している。 そして早くも新規案件が決定した。 最新設備が整えられたTISのデータセンターに、ACMS Apexを含め基盤はすでに構築され、利用に向けた接続テストがスタートした。 その企業ではTEDIOS-Ⅱの利用により、大幅なコスト削減、大容量データ伝送、全銀手順に代わるインターネットEDI手段の獲得が実現する。 情報システム部門は、EDI環境変化への対応という課題から解放されるのだ。
TISにおいても、このような悩みを持つ企業にTEDIOS-Ⅱ採用が広がっていくとみており、直近3年で10億円の売り上げ拡大を計画している。 さらに、データ処理が決め手となるIoT分野などへの適用など、EDI基盤を超えたサービス発展にも大きな期待を寄せている。
※TEDIOS:TIS EDI Ondemand Service by ACMS
※DR:Disaster Recovery
※CMT:Cartridge Magnetic Tape
※TEDIOS-Ⅱ:TIS EDI Ondemand Service Ver.2 by ACMS Apex
※PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard):クレジットカード情報および取引情報を保護するために策定された、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準
EDIシステムの刷新をきっかけに
ACMS Apex + RACCOONで、グループ全体のデータ連携基盤を実現
EDIセンター事業のさらなる充実・発展が期待できる
ACMS Apexへのアップグレードを決定
変化をチャンスとするためインターネットEDI 対応を早期実現
インフラに選んだのは“止まらない”ACMS Apex
基幹EDIインフラをAS/400からAWSへ
ACMS Apex、RACCOONが短期開発に貢献