Case Study導入事例

株式会社日本触媒株式会社日本触媒(石油・化学)導入事例

石油・化学ACMS E2XPDF PDF

時代に適応したITの活用でめざした、顧客企業のさらなる拡大
グローバルスタンダードなEDI基盤をACMS E2Xで実現

  • 課題
    グローバリゼーション時代のビジネスに適したEDI基盤の整備
    ビジネスの“川下化”をめざし隣接業界へのアプローチ法を模索
  • 評価
    グローバルビジネス及び隣接業界に対応できるEDI基盤を確立
    グループ企業システム及び社内システムとの連携基盤としても活用

「時代に合ったIT活用」の指針に照らし、新しいEDI基盤の導入を検討

株式会社日本触媒は「技術立社」をスローガンに、独創的な技術の開発を積極的に進めてきた化学メーカーである。1941年、日本で初めて無水フタル酸の工業化に成功、その後も酸化・触媒・高分子技術を深く追求し、グローバルで高く評価されている。

主要製品であるアクリル酸、高吸水性樹脂、酸化エチレン等は、各種原材料として紙おむつ、洗剤、塗料、繊維等日常生活に必要な用品に使用されている。また、需要拡大が続く電子情報材料分野でも、新規開発した光学材料用アクリル樹脂等がフラットパネルディスプレー用途に採用されている。テクノアメニティー(テクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供する)の企業理念のもと、「個性的な技術で新たな価値を創造する国際企業」を目指し、産業界すべての期待に応えているのが日本触媒だ。
同社の情報システム部門であるIT統括室には、「時代に適応したIT技術、サービスを活用する」という基本方針がある。企業間電子商取引(以下、EDI)においても同様で、所属する業界団体である石油化学工業協会(以下、石化協)が推進する化学品取引のEDI標準「JPCA-BP」に1991年という早い段階から試行参加、これをベースに販売取引のEDIを拡大してきた。

2004年、同社は複数のAS/400で稼働していた基幹システムからオープンベースのERPパッケージ SAP R/3へと移行するプロジェクトを完遂。システムの本稼働により、IT統括室としてもひと段落ついた状況になった。そこで次は、さらに時代に合致したEDIへの対応だとして、石化協のCED(I Chemical EDI Initiative)、その後、CEDI-SD(石鹸・洗剤業界向け連携仕様検討会)に参加して情報収集を開始。検討の結果、米国CIDX(Chemical Industry Data eXchange)がまとめ、CEDIが推し進めるグローバルEDI標準「Chem eStandards」(以下、CeS)の採用を決定した。その理由としては、文字どおりこれが化学品取引のグローバルスタンダードであること、このEDI標準の採用を予定しているのが日本触媒の主要な取引先であること、このEDI標準は10分野72メッセージがカバーされており、今後多くの企業との接続が可能になることなどがあった。

JPCA-BP、CeS、EIAJ、複数のEDI標準に対応可能なACMS E2Xを選択

では、具体的にCeSでのEDIをどう実現するか。日本触媒は、システムの選択にあたって3つのポイントを掲げた。

第1は、最初の実装についてはこのEDI標準実装実績のある取引先を選択することだ。経験のある相手を選ぶことで、システムの稼働精度、ノウハウや知見の吸収を測ろうと考えた。そこでCEDI参加企業の中からCeS導入が進んでいた数社を接続先として、技術面でのサポートを仰いだ。

第2は、SAP R/3が標準搭載しているインタフェースで、ERPとEDIシステムとの連携に適したIDocを採用することだった。これはERP側にできるだけアドオンを施さないためで、本体導入プロジェクトでもこの方針を貫いた同社にとって、自然の成り行きだった。

第3に掲げたのは、このEDI標準実装に実績のあるベンダー、システム・インテグレータを選択することだ。実際には5社にシステム提案を依頼、その内容を上記のポイントから比較検討したという。そうした提案のいくつかに挙がっていたのが、DALのEDIソリューション ACMS E2Xだった。すでに社内で情報収集していたときから、ACMS E2Xについて調査を進めており、有力な候補製品として記憶していたという。

最終的に、同社は、ACMS E2XおよびIDoc活用によるシステム構築を提案したテノン・システムコンサルティング株式会社をシステム・インテグレータとして採用した。株式会社日本触媒IT統括室 課長 石田 光史郎氏は、選択の理由を次のように語る。「ACMS E2Xを採用したのは、従来利用してきたEDI標準であるJPCA-BPと、新しいEDI標準CeS、また電子部品業界で広く使われているEIAJのすべてに標準で対応していた唯一の製品だったからです。JPCA-BPでの取引が浸透しており、一足飛びに切り替えることはできません。ですが、ACMS E2Xを選んでおけば、将来的にすべてのEDIをこのシステムで統合することができ、当社における運用業務の工数を削減できると判断したのです」

テノン・システムコンサルティング株式会社SOA/ERPソリューション事業部 プロフェッショナルサービス部 廣瀬 賢司氏は、石田氏を補足して次のように語る。「日本触媒様は、JPCA-BPとCeSの併用状況が今後もしばらく続くと予測されていました。そうした中ではEDIソリューションとしてはACMS E2Xが最善の選択肢となると考え、これを提案しました」

“ACMS E2X導入で新しい世界へ飛び込んでいく準備が整った”

2009年春、日本触媒のCeSによるEDIは無事スタートした。取引先側に豊富な経験、ノウハウがあったために、導入プロセスは非常にスムーズに進んだ。これによって同社はグローバルスタンダードの新しいEDI基盤を確立した。CeS対応を耳にした化学メーカーが、早くもこのEDI標準での取引を打診してきたという。

またこのシステムは、社内システム連携のベースとしても活用され始めている。その第1弾となったのが、生産管理システムとのやりとりで、R/3から同システム向けにプロセス指図を送信し、同システムからは生産実績を受け取る仕組みを構築した。そのほか、グループ会社での品質管理や物流システムとの連携も検討中だ。

さらに、こうした効果以上に大きい意味を持つと評価されているのは、この新基盤によって、新たに隣接業界への対応が可能になったことだ。前述のとおり同社はビジネスの“川下化”を推進、特に電子情報材料分野へのコミットを強めている。「日本触媒グループ経営に資するIT基盤の構築というのがIT統括室の標榜するところで、まさに今回のプロジェクトはこの指針に合致したもの。ACMS E2Xで複数のEDI標準に対応可能になったことで、新しい世界へ飛び込んでいく準備が整いました。EDI取引を求められても時間をかけずに受けられることは一つの強みになります。また既存の取引先に対しても、EDIで望まれるものがあれば積極的に対応していこうと考えています」株式会社日本触媒 IT統括室長 野原利夫氏は、ACMS E2X導入の評価、今後の展開方針について力強く語った。

構成図

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