Case Study導入事例

アズビル株式会社アズビル株式会社(電気機器・電子)導入事例

喫緊の課題だった発注定常業務の大幅削減
新EDI基盤に選ばれたのはACMS WebFramer

  • 課題
    コンプライアンス強化と定常発注業務の負荷削減
    伝票併存の二重管理ゆえに進まなかった従来のEDI
  • 評価
    発注件数の90%が新システムに合流しデータの二重管理も解消
    めざすは発注定常業務量1/10 ゆくゆくはグループ全体にも展開

コストと取引の煩雑さがネックとなって思うように浸透しなかったEDI-VAN

アズビル株式会社は、計測と制御の技術を追求し、独自のソリューションを提供するメーカーである。空調制御をはじめとする「ビルディングオートメーション」、工場・プラント向けに製品・サービスを提供する「アドバンスオートメーション」、ライフラインや健康などの生活に密着した市場を対象とする「ライフオートメーション」という3つの事業をグローバルで展開。2012年4月には社名を株式会社 山武からアズビル株式会社に変更した。創業は1906年、110年という長い歴史の中で同グループは、人を中心としたオートメーションを探求、顧客とともに新しい価値を創造しつつ、さまざまな課題解決に貢献できる企業集団として社会に貢献している。

同社では、ビルシステムから工場の監視制御システムなどまで、さまざまな製品・サービスを提供するため、購買部では多様な部材・部品を調達する。その数はマスター登録されているだけで約11万点に上り、発注ボリュームは年間約50万件に達する。

15年前、発注業務を効率化すべく、EIAJ標準にのっとったVAN経由でのEDIをスタートさせた。しかし、これはなかなかサプライヤーの間に浸透しなかった。同社のサプライヤーは大企業もあるが、従業員20名以下の小規模企業も約20%程度を占める。彼らにとってVAN利用で発生するイニシャルおよびランニングコストは大きな敬遠材料だった。

また、品目コードのない部材・部品はVANで伝送できないため、発注伝票でのやりとりが必要だった。結局、いずれのサプライヤーもVANデータと発注伝票の二重管理が必要で、これも不評の一因だった。

一方、購買部内では新しい業務が次々登場していた。
一つはコンプライアンス強化業務である。たとえば、紛争鉱物と呼ばれる反平和的武装勢力の資金調達につながるような原料を、自社および取引先が購入していないことを管理することが求められた。
もう一つはERP対応だ。同社では2015年5月に全社規模でERPシステムを導入、購買部もその対象だった。これによって部門ごとの個別最適が解消されたが、ERPの対象外となっている業務機能へのIT支援が手つかずの状態となった。

購買部門がパンクしないためには、定常業務である発注プロセスの負荷を大幅に下げるしかない。そこで同社は、VAN経由のEDI体制を捨て、新EDIシステムを導入することを決断した。2015年夏のことである。

Web-EDIシステム基盤としてACMS WebFramerを選択

新EDIシステムを導入するにあたって、同社はまず取引先を対象にアンケート調査を行った。その結果、先のようにコストが負担であることが判明したため、取引先は無償で利用できることを大前提とした。また、EIAJ標準対応も必須で、それでいながらアズビル仕様の納品書を実現できる柔軟さがあることも欠くことはできなかった。

まだある。DALが提供する企業間電子商取引に対応するB2Bサーバ ACMS B2B(以下、ACMS)との連携性だ。同社では10年前から販売業務でこれを導入、ERPシステム導入後は、調達業務でもVAN-ACMS-SAP連携を実現させていた。新システム導入後もACMS-SAP連携は崩したくない、というのが、業務システム部、購買部の一致した意見だった。さらに購買部からは、納期回答、納品などに関するサプライヤーとのやりとりを極力自動化したいという要望も寄せられた。

こうした中、採用されたのがDALのエンタープライズWeb-EDIシステム基盤 ACMSWebFramer(以下、WebFramer)だった。まず、Web-EDIであることから取引先にインターネット環境さえ整備されていればそれ以上のコストはかからない。また、パッケージ製品でありながら、WebFramer Webアプリケーション構築支援ツール(以下、支援ツール)が実装されており、自動通知メール機能やACMSとの連携機能を容易に実現することができた。また、納品書なども支援ツールを使って柔軟に作成可能だった。アズビル株式会社 業務システム部 生産システムグループ リーダー 小池宣孝氏は、選定のプロセスを次のように語る。「自社でスクラッチ開発するか、WebFramerを選ぶかの二択でした。自社開発すると自社ニーズに合ったものができますが、その後ニーズの変化や法令改正に合わせてずっとメンテナンスが必要です。OSやWebブラウザ潮流などへのキャッチアップも考えると、システム基盤として完成しているWebFramerを選択するのが賢明と判断しました。」アズビル株式会社 業務システム部 ソリューション開発 グループアシスタントマネージャー 志澤憲一朗氏は、小池氏を補足してこう語る。「いろいろ市場調査をしていたときに、DALパートナーであるTIS株式会社から、WebFramer電子機器業界調達業務向けWeb-EDIテンプレート(以下、EIAJテンプレート)が出るという話を聞き、ファーストユーザーとなるわれわれをDALが全力でサポートしてくれるというので、それは渡りに船だと思いました。」

発注件数の90%のサプライヤーに展開、発注データの二重管理を解消

WebFramer導入プロジェクトの成否は、賛同してくれるサプライヤーの数にかかっている。アズビル株式会社 プロダクションマネジメント本部 購買部 副部長 内田誠一氏はそう考え、2016年3月、発注件数ベースで90%をカバーする220社を対象に、説明会を複数回開催。サプライヤーの受注・納品業務の効率化も達成すると明言して全社から合意を取り付けた。その後、同7~9月の実装プロセス、同10~12月のテストプロセスを経て、予定どおり同12月19日に第一次カットオーバーを果たした。

新システム稼働の結果、同社とサプライヤーの間で受発注データの煩雑な管理は解消。サプライヤーの基幹システム連携も可能になった。内田氏は、導入効果を次のように語る。「バイヤー業務が大きく簡素化され、定性的には確かな効果が出ています。最終的な目標は発注定常業務9割削減。そのために、対象サプライヤーの拡大、システム改善に努めていきます。」

同社ではWebFramer活用に大きな期待を寄せており、ゆくゆくはazbilグループ全体のWeb-EDIシステム基盤とする構想も浮上している。

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